工房 えらむ

木の器と手織の工房

作品づくり

優しいスプーンを彫る

先日、神戸三宮のさんちかホールでの合同展示会に出展していた際に、私のスプーンを気に入って使っているので、もう一本欲しくて買いに来ましたと言われる、お客様がお出でになりました。
過去にお買い求めいただき、愛用されて、スプーンを使う時はほとんどこれを使っているとおっしゃられ、本当に使い込まれたスプーンを見せてくださいました。それは、もともとベビースプーンとして作っていた、柄の短い、子供の口に合わせて、すくう部分を小さめに作ったものでした。
口当たりを優しくするために、緻密な桜の木を削り、柔らかいカーブに丸みを付けて、削り跡を丁寧に磨いて仕上げています。
このスプーンは、最近はほとんど作っていなかったので、お客様がお出でいただいた時も在庫しておらず、お渡しすることはできませんでした。
ご愛用頂いていることに感謝して、再作成をさせていただくことにしました。大人の方にも好評と言うことで、今回は柄を長くした、一般的なサイズのものも作ることにしました。
これまでと同様に、漆の抗菌作用を生かして、拭き漆塗りで仕上げます。

木のスプーン

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶなのスポルテッドの大皿を作る

木の器作りを仕事にして、これまでで一番大きな器を作りました。
予てより、お客様から大切にしている気に入った木を持っているので、これを器にしてほしいと言うご依頼をいただいておりました。
古いぶなの木で、長い年月の間に木材を腐らせる菌糸などが広がって、スポルテッドと呼ばれる、独特の染みや色の変化が美しい景色を作っている個性的な木です。
この模様を生かして、できるだけ大きなお皿を作ってほしいとのご要望で、これまでで一番大きな、縦76㎝、横45㎝、厚さ4㎝と言う大皿の制作を行いました。
いわば朽ちる寸前の木で、なかなか扱いの難しい木でもあり、ともかく大いこともあって作業は大変ですが、これだけの大物はある意味やる気をかきたてられ、道具を駆使して、なんとか仕上げることができました。
オイルを塗って仕上げると、宇宙の広がりを感じさせるような模様の皿が出来上がりました。
お客様には、とても喜んでいただけて、嬉しく思います。

 

 

 

 

 

 

鑿の柄のグミの木採取

私の工房の片隅に自生しているグミの木があるのですが、先日、工房に時々訪ねて来られる鍛冶師さんが、鑿の柄に少しもらえないかと。
鑿の柄は、樫の木のものが多いのですが、グミ柄の鑿は持ち手への振動が少なく、金槌の打力が素直に伝わる等として柄には、上質のものとされています。黄色味がかった柄の色もなかなか上品です。
拙い木工仕事をしている私に、いつも親身に道具の指導をしてくださる鍛冶師さんの申し出もあり、ちょうどグミの木も伸び放題で、何とかしなくてはと思っていただけに、お役に立てるとあって、一緒に柄に適した枝を落としました。
柄を採取に適する時期としては、冬が過ぎて時期が少々遅くなってしまったようですが、まあなんとかなるだろうと、手際よく適した枝を採取、私も自分用の枝を採取していきました。
切った枝は、鉈で部分的に皮をむいて、陰干ししておくと、黄色い良い色の柄になるとのこと。
金槌の柄にも良いそうで、私には、教わることすべてが新鮮で、とてもためになる話をたくさん聞かせていただいた鍛冶師さんとのひと時でした。

 

 

 

 

 

 

 

クルミ材を買いに行きました

今日は、兵庫県内の材木屋さんにクルミ材を買いに行ってきました。
日頃は、栗や栃の木を使った漆塗りの器などを作っているのですが、なぜか最近、いろいろなお客様からの注文でクルミ材を使った商品の制作依頼をいただくようになりました。
ただ、オーダー品のほとんどが、薄くて広い材、そしてなるべく無地のものが沢山必要と言うものなので、材の確保が悩みの種になっています。
20ミリ程度の薄くて広いクルミ材はなかなか流通していないのか、私自身の材木の入手方法の知識が乏しいこともあってか、良材の確保にいつも悩まされます。
最近では、北海道の材木屋さんにクルミの木の伐採からお願いして、良材を20ミリ程度に挽いてもらうなどして、材の確保に努めています。
先日、県内のベテラン木工家の方にクルミ材の確保について相談したら、兵庫県内の材木屋さんに在庫しているところがある、それも幅広の薄板だと言うことで、早速材木屋さんを紹介してもらい、一緒に買いに行ってきました。
兵庫県内の材木店では、希望のクルミ材の入手はほとんど無理だろうと思っていましたが、おおむね希望に添う材が入手できました。
残念ながら、在庫限りということで、今後の入手は困難と言うことでした。
情報をいただき、値段交渉までしていただいた木工家の方には感謝、感謝です。

 

 

 

 

 

 

 

柄付きの鉢を彫る

栗の木で柄付きの鉢を彫りました。
以前時々作っていたのですが、柄の部分が付くだけで、単なるだ円の鉢を作るのに比べると、倍以上の時間がかかるので、あまり作らなくなってしまいました。
今回、ささやかながらチャリティーイベントの展示販売会への出品のお誘いをいただいたことから、少し普段とは違うものを作って購入していただければと言う思いで作ってみました。
そして、とあるご縁で、鍛冶の名工の方から、私の仕事ぶりを見て、使ってみなさいと渡された、突き鑿を試す機会としても作ってみました。
渡していただいた鑿は、これまで私が使っていた鑿とは、切れ味の感触の違いをはっきりと感じる鑿でした。それは、新しい作品がいろいろできそうな予感のする道具でした。
鉢は、拭き漆塗りで仕上げます。

 

 

 

 

 

 

 

錫彩の器

数年前から漆塗りを漆芸家の先生から、少しずつ習っています。
私の漆塗りは、ほとんど独学で始めた拭き漆塗り一辺倒でしたが、最近は少しずつ、漆塗りのバリエーションが増えてきました。
漆塗りを習っているとは言え、大変奥が深く、まだ基本の基をやっているレベルで、素材の扱いなどを教えていただいて、自分なりにいろいろ試しています。
錫彩の器は、先生に教えてもらって作ったものではありませんが、薪地と言う技法になぞらえて、漆塗りした木の皿の表面に錫粉を蒔いて、錫の金属質を表現してみました。いろいろ手間のかかる工程がありますが、木の質感を残しながら、金属質を表現したものができたと思います。
写真のものは、栗の木を手彫りした4寸茶托兼銘々皿です。現在、作品の幅を広げて制作しています。
錫粉などを蒔く技法は、一般的に行われている技法ですが、いろいろな技法を実際にやってみると、漆塗りの表現の多様性にはまりそうです。

錫彩の木の器

 

 

 

 

 

 

 

展示用什器を作る

3月に神戸三宮で、飛騨の工房家具作家の方5名とともに、兵庫のクラフト作家6名が展示販売をすることになり、工房えらむも夫婦で参加させていただくことになりまいた。
沢山での展示なので、展示スペースも限られるのため、できるだけ効率的に展示をするために、新たに展示用什器を作ることにしました。
昨年11月に兵庫県立丹波年輪の里で開催された、木木市で、丹波産の桧を格安で購入し什器の制作に備えていました。
桧は軽くて持ち運びに便利で、見た目も美しいので、什器には好んで使っています。格安とは言え、とても良い材で、棚板に至っては、幅の広い無地板で大変助かります。
車で持ち運びできるように構造はいたってシンプルにし、各部材はねじ止めにし、ボルトとナットで簡単に組み立てられるようにしています。
3月の展示会の詳細につきましては、飛騨の工房家具作家の方に作っていただいたフライヤーが近く届く予定になっていますので、改めてお知らせしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

定番の角盆を彫る

昨年末にご依頼いただいた、角盆を彫っています。
栗の木を彫ったシンプルなお盆ですが、軽くて持ちやすいお盆を心掛けて作っています。
大きいサイズは、25×43センチ、小さいサイズは、20×35センチで、どちらも厚さは2センチ。厚いお盆では重くなるので、厚さは2センチにしていますが、薄い分、板の反りが心配になります。なのでできるだけ、目の積んだ栗の柾目板を使うようにしています。柾目の板は、それなりに美しいですが、少し彫り目を入れて、お盆に表情を付けています。筋状の彫り目を入れると、表面積がぐっと増えて、拭き漆塗りの際に、大量に漆がいるのが難点ですが、その分丈夫になって、反りが少なくなってくれればいいかと思っています。

明日から3日間、2019年最初の工房Open日となります。
寒いですが、お気軽にお立ち寄りください。

栗の木のお盆栗の木のお盆

 

 

 

 

 

 

第58回 日本クラフト展の出品作品

2019年1月6日より、所属している公益社団法人 日本クラフトデザイン協会主催の第58回日本クラフト展が、東京六本木の東京ミッドタウン・デザインハブで始まりました。
今年の私の出品作品は、栗の木の皿にろうけつ染めで模様を描き、重曹で染めた、Morning plateです。
数年前から栗の木のタンニンを調理用重曹のアルカリで染めたこげ茶色が好きで、栗の木の染めに使っています。昨年の同展の出品作品は、栗の器に重曹で模様を描いただけのものだったのですが、今年は、木のろうけつ染めの技法をもちいて表現しました。
栗の木の皿(26×26センチ)に、養蜂を趣味でしている木工家の方からいただいた、天然のミツロウを湯煎してろうけつ染めの模様を描き、ろう描き模様以外の全体を調理用の重曹を塗布して染めています。そして、残ったミツロウにクルミオイルをブレンドしてミツロウワックスを作り、皿全体に塗布して仕上げています。
栗の木のタンニンを調理用重曹のアルカリ成分で反応させて、茶色く染めるのですが、木の素材や重曹の濃度によって、発色が異なるので、好みの色を出すのに少し苦労しました。
天然採取のミツロウで模様を描き、調理用の重曹で染め、ミツロウにクルミオイルをブレンドして作ったミツロウワックスでの仕上げ、どれも食品上問題のない素材を使って、木の自然な風合いを生かした模様のある皿にしてみました。
日本クラフト展は、1月14日まで開催されています。機会がごさいましたらご覧ください。

木のろうけつ染めの皿

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1合の片口を彫る

年末になると、良くご依頼をいただく、酒器用の片口を彫りました。
厚さ9センチの栗の木で、ゆったり1合入る片口を作りました。
私の片口は、持ちやすさを考慮して、片手で安定して持ってお酒の注げる、だ円形で細身の片口にしています。オーソドックスなスタイルの定番として永く作っているものです。
口径がやや狭くて、深いものになっているので、彫るのが少し大変ですが、深いものを彫るのが意外と面白くて、いろんな手道具を駆使しながら、底をさらえて行きます。
注ぎ口も液だれぜず、切れが良いようにしています。
木の片口は、熱燗でもやさしく持てて、冷や、燗ともに保温性があるので使いやすいかなと思います。
これから漆を塗って仕上げます。ご依頼いただいたお店の方には、年末にも松の内にも間に合わず、大変申し訳ない気持ちです。