兵庫民芸 第51号

昨年、入会させていただいた兵庫県民芸協会の機関誌「兵庫民芸 第51号」が送られてきました。
私が、入会して始めて頂いた協会の機関誌です。
兵庫県民芸協会の存在は、かなり以前から知っていて、とても興味を持っていましたが、入会となると、会員の皆さんは、非常に優れた民芸・工芸の作家の集団と言うイメージがあり、入会など縁のない世界と思っていました。
昨年、展示会を見に行った会場で、兵庫県民芸協会は、民芸に興味のある方なら、だれでも入会できますよと言われ、会員の尊敬する作家の方や、親しい作家の方に勧められ入会を決めました。
冊子の会員募集の欄には、「民芸に興味のある方はどなたでも会員になれます。平和な世の中をしっかり守り、生活の中の美をみんなで育てていきましょう。」とあります。
売れる商品を作り、沢山収入を得ることが、暮らしに平穏をもたらすと考えがちなになる時代ですが、「平和な世の中をしっかり守り」と言う言葉が、どこかとても良い響きに感じます。
冊子「兵庫民芸」は47ページのとてもしっかりした内容の冊子で、これだけのものを発行すること事態、大変な作業だと思います。目次の版画は、棟方志功 氏によるものとあり、長きにわたって組織の趣旨を守り、組織を運営する方々の真摯な取り組みにより、運営されてきた会であることが感じられます。

オニグルミの花

工房に植えたオニグルミの木に花が付きました。素材としても最近よく使う樹種のひとつ。
10年ぐらい前に、木工をしている友達が植えてくれたもの。
ずっと以前に岐阜の高山で木工修行していた友達が、育てていたオニグルミを実家のある兵庫県に持ち帰って育てていましたが、大きくなってきたことから、私の工房に移植してくれました。
成長して5メートルほどの高さになり、今年も花の時期になりました。
オニグルミは、雄花と雌花は別々に咲きます。雌花は小さく目立たない地味な花ですが、雄花はだらりと15~20センチもありそうな、房のようなものが垂れ下がっています。
ここ最近は、夏には20個ほどの実を付けてくれます。
オニグルミを植えてくれた、木工家の友達は現在、和歌山県の田舎に工房を構えて仕事をしています。
数年前、初めて実ったクルミの実を、彼に送ったら、工房の敷地に植えてくれたそうで、その実も成長して、再び彼のもとに戻って育っているそうです。
こんな風に、植物の種が、ストーリー的に循環していくのも楽しいものです。
雄花は、今年のもの。雌花は数年前の写真。

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栗の木で我谷盆を彫る

栗の木で我谷盆(わがたぼん)を彫りました。
我谷盆は、石川県の旧 我谷村(わがたにむら)で、江戸時代初期以来、生活具として作られた木地盆で、材は主として栗を用いられ、のみで縁まわりをくりだし、底には丸のみの平行線を刻み付けているところが特色のお盆と言われています。素朴ななかにも、凛とした力強さと美しさの感じられる、大変魅力的なお盆です。
現代では作られなくなっていた我谷盆の制作復元に尽力された、木工作家の森口信一さんの個展を見に行った時、森口さんの作られる素朴でありながら、勢いのある美しい我谷盆にとても感動しました。
その時、私も木の器を作っていることをお伝えすると、在廊されていた森口さんから、我谷盆の使われていた歴史的背景や、作り方、漆の塗り方などを詳しく教えていただきました。
我谷盆の復刻に向けて、苦労して得られた技法を惜しげもなく、私のような人間に詳しく教えてくださることにも、とても感動しました。
本来の作り方は、栗の木の丸太を鉈で割って、板を作り、ノミとカンナだけのとてもシンプルな道具で作られるもので、自然な木の表情や、手道具の勢いがお盆の魅力的な表情となっています。
私のお盆は、栗材を機械で厚みを揃え、機械的に下彫りをしてから、ノミで仕上げると言う作り方ですので、我谷盆と言うにはいささか、ほど遠いものかと思いますが、恥ずかしながら我谷盆のカテゴリーとして表現したいと思います。

我谷盆我谷盆

木のぐい吞みを彫る

久しぶりに木のぐい吞みを彫りました。
ぐい吞みに使えそうな木があると、いろんな木で思いつくままに、ほぼフリーハンドで彫っていきます。
そして、個々の雰囲気に合った、色あいで漆を塗って仕上げます。
特に、定番的なものがある訳ではないのですが、やはり持ちやすさや飲みやすさを意識して作ります。
もう少し遊び心を感じるぐい吞みにしたいなといつも思うのですが、フリーハンドとは言え、どうも同じような雰囲気になってしまいます。
こんな感じで、長いことぐい吞みを作り続けているのですが、ほとんど手元には残らず、何方かのもとでお使いいただいていることを、とてもありがたく思います。
いつもオーダー仕事などの合間に、気まぐれに作るので、なかなかまとまった数の在庫が出来ないのが悩みです。
外出のままならない日々ですが、口当たりの優しい木のぐい吞みで、自宅でゆったりお酒を味わっていただければと思います。

木のぐい吞み

 

 

 

 

 

 

 

2020年 工房の春

新型コロナウイルスの感染拡大により、何かと落ち着かない日々ですが、工房にはいつもと変りなく季節が巡ってきています。
春真っ盛りの工房は、新緑に包まれて、穏やかな時間が経過しています。
昨日の強い風雨から、今日は一転穏やかな青空に、ちょっと遅咲きの吉野桜と例年より早咲きのミツバツツジのツーショットがまだ楽しめています。
吉野桜のピークが過ぎると、工房に自生している山桜が清楚に林を飾っています。吉野桜のにぎやかさに比べると、山桜の小さな花がつつましく、なんとも愛しく感じます。
工房のまわりのコナラやクヌギ、シバグリ、オニグルミなどが色鮮やかな新芽を携えています。
工房は、まさに新緑の春を迎えています。
素晴らしい季節にも関わらず、心のどこかに不安を感じる日々が続いています。一日も早く、心穏やか過ごせるようになりたいものです。

ひとり盆の塗り上がり

以前に作った定番のお盆で、縦16センチ、横26センチサイズのひとり盆の漆塗りをしました。
栗の木の柾目材で厚さは1.7センチほどですが、お盆の底の深さは7ミリほどと浅くしていますので、お盆と言うより、トレイの雰囲気のお盆です。
漆塗りをしていない白木の状態だと、少し洋風なカジュアルなお盆の印象を持たれる方が多く、どちらかと言えばナチュラルなオイル仕上げのものを好まれる方が多いと思います。
私は、どちらかと言えば、渋い雰囲気が好きなので、漆塗りで仕上げることが、圧倒的に多いです。
漆塗りも、杢目を生かしながら、黒く拭き漆塗りにして、つや消しで仕上げています。
こんな渋い雰囲気が好みと気に入っていただける方が、少なからずいらっしゃるので、私はこちらをメインに作品作りをしています。

漆塗りのお盆漆塗りのお盆

 

 

 

 

 

 

 

茶さじを作る

夏に出展を予定している、お茶や急須にまつわるグループ展用の作品を制作しています。
展示会は陶芸の作品が中心ですが、木工作品としての出展の機会をいただきましたので、私は、茶托やお盆、茶さじなどを制作することにしました。
山桜の木で、長さ7~10センチぐらいの茶さじをいろいろ作ってみました。
基本的には、使いやすさ最優先ですが、茶入れなどへの収まりやすさ、見た目の面白さなど、こんな茶さじはどうだろうかと、思いつくままに、ほとんどフリーハンド的に作っています。
山桜は硬質で、甘い香りがいいので、無塗装で仕上げます。
使い込むほどにお茶の成分が、茶さじに触れて、良い味わいになってくれるのではないかと思います。

茶さじ

工房定期Openのお休みのお知らせ

工房えらむでは、毎月、第3の土曜、日曜、月曜を工房定期Open日として、工房ギャラリーを公開しておりましたが、新型コロナウイルスの感染回避のため、当分の間、工房Openをお休みさせていただくことにしました。
毎年、5月のゴールデンウイークには、工房展として、いつもより長めに工房Openしておりましたが、これにつきましても同様の取り扱いとして、工房展の開催は取り止めることにしました。
とても残念ですが、感染被害の拡大防止の一環として、当分の間対応してまいりたいと思います。
工房の桜が、例年より1週間早く満開となりました。
季節は、何事も無かったかのように、ほのぼのとした穏やかな春を迎えていますが、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、尊い命が次々と亡くなっていく惨状とのギャップに、心の整理がつかない日々です。
一日も早く、ウイルス感染が終息し、穏やかな日常が戻ることを願ってやみません。
どうか皆さまにおかれましては、感染に十分注意してお過ごしください。
私たちは、状況が好転次第、工房をOpenして皆さんに楽しんでいただけるようにしたいと思っています。