栃の輪花盆を彫る

栃の木で輪花盆を彫っています。
薄くて幅広の栃の木の乾燥材を買ったのですが、長期保管でも反りも捻じれもなく、広いお盆ができると思い、彫ってみました。
お盆の直径は、約35センチの少し広めですが、厚さ2センチと薄めなので、軽い持ち心地になります。
栃の木の白さのきれいな板で、特有のにじんだような杢目模様もあって、清楚な感じを生かすため、輪花型にしました。
漆塗りでの仕上げに魅力も感じるのですが、この白さを生かして、オイル仕上げにしようかと思っています。

2022年7月30日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ

タモの木の皿仕上がり

先日作っていた、タモの木の皿の漆塗りが終わりました。
美しい杢目のタモの板があったので、木工ろくろは使わず、かんなで削り出してざっくり仕上げています。
美しい杢目のお皿ですが、あまり杢目が強すぎると食器として使いにくいところもあるので、拭き漆塗りの色合いを調整して、落ち着いた雰囲気に仕上げることにしました。
このタモの木の力のある杢目の美しさを残しつつ、料理が映える皿として、杢目が目立ちすぎないように、漆に煤などを調整しながら混ぜ、拭き漆塗りを重ねていきました。
果たして意図した通りになっているかと言うと、評価が分かれるところかもしれませんが、自分なりに表現したいお皿になったかと思っています。
このお皿は、9月7日~13日に東京 日本橋高島屋7F 暮らしの工芸で開催予定の、コウホ窯 市野吉記さんと工房えらむ田中陽三の二人による「陶と木のある食卓」展に出品予定です。

 

工房の必需品 虫取り網

工房では、木工機械や木工道具に加えて、虫取り網が重要な必需品。
工房では、冬場以外ほぼ窓と入り口扉は、明けている状態で、夏場は全開状態。
そうするといろいろな虫が次々と入ってきます。
ハチにアブ、蝶々、蛾、カメムシ、トンボ、セミ、ハエ、蚊などなど。時には野鳥も。
特に多いのが、ハチとアブ。
巨大な、スズメバチもよく入ってきます。仕事中の頭の上を大きな羽音をたてて、ぐるぐる回っていきますが、たいていは何事もなく出ていくのですが、時々ガラス窓にぶつかって、そのまま出口を求めてガラス窓にへばりついていることがあります。そこで必要なのが虫取り網。なるべく刺激しないようにさっとすくって外に追い出します。
怖そうなハチは、意外とすんなり出ていくのですが、厄介なのがアブ、猛スビートで飛び回って、体にまとわりついてきてなんとも始末が悪い。これもなんとか虫取り網で追い詰めて、外に出すのですが、手のかかる厄介な作業。
入れ替わり立ち代わり入ってくる虫を、追い出す虫取り網は、工房での仕事を支障なく行うために必要不可欠なものになっています。
100均ショップで買売っていた、200円のちょっと高級な虫取り網は、何と言っても工房の必需品。

2022年7月24日 | カテゴリー : 工房の四季 | 投稿者 : えらむ

梅雨にアートな思い出

工房のある近畿地方は、早々に梅雨が明けましたが、その後も戻り梅雨のような鬱陶しい日々が続いています。
そんな梅雨の時期に思い出されるのが、美術家 堀尾貞治さんらと私の工房で、アートパフォーマンスを楽しんだこと。
廃材で工房を建てて間もないころ、かつての前衛美術家団体、具体美術協会に所属しておられた美術家の堀尾貞治さんとそのお仲間の方に工房にお出でいただきました。当時、堀尾さんは、ヨーロッパ、アメリカ等で「具体・GUTAI」の人気が高まっていることもあって、世界中を回っておられましたが、縁あって私の工房で、アートパフォーマンスを楽しむことになりました。
当日は「雨」をテーマにそれぞれのアーティストの方により、さまざまなアート作品やインスタレーション、パフォーマンスが繰り出されました。
堀尾貞治さんは、私の工房のファサード、格子状のガラス窓に、一見無造作に紙きれを張り付けていき、工房の構造体と紙で連続する「雨」の文字を即興で表現されました。工房の構造を見事にとらえて、巨大な雨の文字を浮かび上がらせるパフォーマンスには、さすが!と脱帽でした。
私の工房の建物を見て即興で思いついたと言われていました。
堀尾さんは、気さくな素晴らしい美術家の方でしたが、2018年に亡くなられたことを本当に残念に思います。

2022年7月20日 | カテゴリー : 作家の方々 | 投稿者 : えらむ

風蘭の花

工房のコナラの大木の幹に置いた風蘭(フウラン)の花が咲きました。
風蘭は、工房に時々来られる隣町の鍛冶師のOさんから頂いたもの。
鍛冶師のOさんは、素晴らしい木工刃物を作られる方ですが、山野草への造詣も深い方で、工房のどこかに植えたらいいと折に触れてめずらしい山野草をもって来てくれます。
ちょうど1年前、自宅に植えていた風蘭の株をもって来られ、着生植物なので、どこか木の幹の間に置いたらいいと言われ、仕事場の窓から見えるコナラの大木の幹に、根元にミズゴケを絡めて置いていました。
そして、1年経過して、細く繊細ですが、欄の花の風格を備えた、気品高い白い花が咲き始めました。
日本原産の蘭というのも魅力的ですが、小さな花ですが、花の香りもとても良いのです。
ちょっと梅雨の戻りのような鬱陶しい日々の中で、ちょっと清々しいしい気分になります。

 

2022年7月16日 | カテゴリー : 工房の四季 | 投稿者 : えらむ

松田一戯 木彫50年の歩み 作品集

先日出版された本、木彫家 松田一戯さんの作品集「辺境の地から 松田一戯 木彫50年の歩み」を購入しました。
松田一戯さんは、地元兵庫県の但馬地域で活動されておられる木彫家の方です。
私も松田さんの作られた作品はとても好きで、招き猫の作品を購入してもっているのですが、但馬木彫と呼ばれる、民芸調の木彫で全国的にご存じの方も多いかもしれません。
松田さんの作品は、民芸調の作品だけではなく、本来、ご本人が目指しておられた、現代美術系の彫刻にこそ素晴らしい作品が沢山あります。
こうした作品を見る機会がなかなかなく、今回、作品集が出版されたことで、ぜひ氏の現在の作品の集大成を拝見したいという思いで、購入しました。
氏の作品は、造形的にも表現的にも大変魅力ある作品ばかりで、木でもの作りをしている人間としては、木の持つ可能性のようなものを非常に感じるとともに、自分の作っている木の作品の深みのなさをひしひしと感じる思いです。
そして、木の魅力を強く感じさせてくれます。

2022年7月14日 | カテゴリー : 作家の方々 | 投稿者 : えらむ

厚い板

工房には、いろいろなオーダーに備えて、いろいろな厚さの板を、できるだけ在庫するようにしています。
特に厚い板は、なかなか確保が難しいので、厚い板を在庫していると、なんとなく安心感があります。
木工を始めたころは、材の買い方すら分からなくて苦労しました。
4~5センチぐらいの厚さの板なら、何とか手に入れることができるのですが、お椀を彫るサイズの6センチ以上ともなると、なかなか市場には無く、最初は、小さな端材でも6センチ以上の厚みのある板は、見つけると何でも買っている始末でした。
いろいろな先輩木工家の方から、広葉樹の買い方や、材木店を教えてもらい、今では何とか必要な材をある程度確保できるようになりました。
材木店の方とも、親しくしていただけるようになると、材料を探していただいたり、特別に丸太を注文で挽いてもらったりしてもらい、必要な樹種の、いろいろな厚さの板を確保できるようになました。
とりわけ苦労していた、厚い板6~10センチのものも在庫できるようになりました。
まったく木工業界の知識のないまま脱サラしてしまった私に、親切に対応していただいた、先輩木工家、材木店の方のおかげです。

2022年7月9日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ

鉋仕上げ皿製作中

きれいな板目の栗材で、直径30センチ、厚さ2センチのお皿を製作中です。
木工ろくろは使用せず、板に円を描いて、ディスクグラインダーで荒彫りをして、四方反りの豆鉋で仕上げています。
ろくろで挽いたような端正な円ではなく、表面も鉋目の残ったざっくりとした仕上がりですが、この少しゆるやかな雰囲気が気に入っています。
栗の木の杢目が端正で、少し緊張感を与えてくれているようです。
そんなバランスを生かしていい雰囲気のお皿が出来上がることを願っています。
拭き漆塗りで仕上げて、9月に予定している東京での展示会にもっていければと思います。

 

2022年7月7日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ

2022年の梅雨明けと夏野菜

工房のある近畿地方の梅雨も、記録的な速さと短さで明けました。
梅雨明けと同時に、猛烈な暑さがやって来ました。
そして今日は、近くの丹波地方で記録的豪雨。
暑さと湿気、ただ開け放っただけの工房での仕事もさすがにしんどくなります。
体調もぱっとしない日々にこの暑さに、果たしていい作品は出来ているのだろうかと。
工房となりの畑の夏野菜も、今年の出来はいまいちで、畑の手入れの悪さを置いといて、やっぱり例年にない梅雨明けと暑さが影響しているのではないかと思ってしまいます。
野菜も例年にない厳しい気象条件に喘いでいるのではないかと思います。
自然と寄り添いながら、もの作りをするというコンセプトの作品作り、野菜と同じように自然のあるがままを受け入れながら、ベストを尽くすしかないのかなと思います。
出来の悪い夏野菜の中で、唯一、元気に育っているインゲン豆に励まされる日々です。

2022年7月3日 | カテゴリー : 工房の四季 | 投稿者 : えらむ