お茶碗を彫る

折に触れ、木の抹茶茶碗を作っていますが、最近、制作のご依頼をいただくことが増えてきました。
栗の木で抹茶茶碗を彫りました。
もう既に出来上がっているものですが、まず木地の状態を紹介したいと思います。
茶碗づくりは、大変奥が深く、難しい世界ですが、私の場合は、木で作ることの良さに重点を置きながら、木の自然な表情、やさしさ、暖かさ、軽やかさなどを生かした、使いやすいお茶碗づくりをめざしています。
この度のものは、栗の木を彫って、拭き漆塗りで仕上げています。
口径は約13センチ、高さは約8.5センチで、手に収まりのよい、茶筅のふりやすいお茶碗になればと言う思いで作りました。
陶のお茶碗とは一味違う、木のお茶碗の良さを楽しんでいただければと思います。

木の抹茶茶碗

17年目の工房訪問

工房にS君がやって来た。
S君が私の仕事場に初めてやって来たのは17年前。友達家族の末っ子で、小学校1年生の時。
夏休みの宿題の工作を作りたいとやって来て以来、毎年のように夏休みの工作を作りに来るのが恒例になった。
夏休みの工作の必要がなくなっても、受験や浪人生活中以外の、ほぼ毎年1回やって来る。2浪の末、志望の大学に合格したと言って、嬉しそうにやって来てくれた。
大学生となって、アメリカに短期留学してきたと言って、お土産を持ってやって来て、アメリカの音楽事情を聞かせてもらい、いろいろ語り合った。
2浪しながらも、厳しい体育界系の部活に入部し、時間がないと言いながら年に1度は、訪ねて来てくれた。
そして、就職が決まり、明後日から東京へ行くと言って、工房を訪ねてくれた。S君が私のところに来て17年目の訪問となりました。もうしばらく会う事もないだろうと、いいながら、パソコンを持ち込んで、お互いの好きな音楽のことで盛り上がった。
たいした木工技術もない、つまらない私のところに、事あるごとにやって来てくれる、素直なS君の、社会人としての第一歩にエールを送りたいと思います。

2021年 工房のさくら咲く

2021年の工房の桜が咲きました。
今日3月22日に工房の入口付近に植えた、吉野桜の花の開花を確認しました。
例年より非常に早い開花です。
工房のある所は、兵庫県小野市の市街地より少し小高いところにあることから、小野市の中でも桜の開花の遅い地域で、例年は4月に入ってやっと咲き始めるのですが、今年は驚くほど早い開花となりました。
全国的に、記録的な早い開花の便りが寄せられていますが、私の工房でも記録的な早さとなりました。
例年にない、いろいろな気象的要因が、全国的に早い開花をもたらしたのだと思いますが、工房の片隅に植えた小さな桜の木も、感度よく特異な気象条件をとらえていたのが、なんだか健気に感じます。
こんな、ささやかな季節の移ろいを楽しみながら、毎日仕事をしていますが、どうも最近は、ほとんど惰性で仕事をしているような日々で、私ももう少し感度よく、世間の状況を察知して、動くことが必要かなと、ふと思いました。

台湾 幸福工藝 展が始まりました

2021年3月16日より、台湾にあります国立台湾工芸研究発展センターで開催される、台湾・日本交流企画展「幸福工藝」展が始まりました。
私の出品作品は、工芸と言う世界においては、取るに足らない作品ですが、生活にまつわる工芸作品を通じて、メッセージを発信したいと言う思いで作った作品です。
この木の器は、木の実や種子をイメージして製作しています。
私たちの食べ物のほとんどは、自然界からの恵みに由来するものです。
そして、木の実や種子は、植物の起源を成すもとして、食べ物をこの器に盛ることで、食べ物が自然界から生まれ、その恵みを私たちは享受していることを実感し、敬い、感謝するきっかけになればとの思いで、この器を製作しました。
自然を敬い、しなやかに共生することこそが幸福ではないかと言う思いが、私が考えるこの工芸展のテーマに対する答えです。

会場:国立台湾工芸研究発展センター 台北ブランチ 4F企画展示室
(100 臺北市中正區南海路41號)

会期:2021年3月16日(火)~5月16日(日)

 

2021年3月の工房定期Open日

毎月、第3土曜、日曜、月曜の3日間、工房ギャラリーをOpenしています。(お休みをいただく月もありますので、ホームページでご確認ください)
2021年3月の工房Openは、3月20日(土)、21日(日)、22日(月)10:00〜16:00 の3日間です。
日頃製作しています木の器等の作品、織の作品と、あると楽しい古道具、古民具を展示販売いたします。
趣味の古道具販売は、少々マニアックな古民具などが増えています。特に古布、竹かご類が増えています。
工房の吉野桜のつぼみも、例年になく早く膨らんでいます。工房Open期間中の開花はさすがに望めないと思いますが、ほのぼのとした春の工房をお楽しみください。
4月、5月の工房定期Open日は、お休みさせていただき、ゴールデンウイークに工房展として少し長めに工房Openしたいと思います。詳細は、後日お知らせいたします。
3月の工房へお気軽にお立ち寄りください。

2021年 工房は春へ

今日は、春らしいほのぼのとした天気。
とは言っても、午前中は肌寒く薪ストーブが欠かせない日々です。
工房の周りの木々は、まだほとんど裸木のままですが、それでも少しづつ春の訪れを感じさせてくれます。
サクランボ木は、桜より1ヶ月早く満開。毎年たくさん花は咲かせるけれど、ほとんど実のならない佐藤錦のサクランボは、まあ花の少ない時期に、いち早く春を届けてくれるので、良しとしましょう。
今年は、全国的に桜の開花も早いそうですが、工房の吉野桜のつぼみも例年より膨らみが早い感じがします。
今日は、暖かいので畑でジャガイモの植え付け。メークインの種芋に薪ストーブの灰をまふして植え付けました。
3月のささやかな春のひと時は心地よく、どんなエンターテインメントより楽しい。

台湾・日本交流企画展 「幸福工藝」に出品します

2021年3月16日より、台湾にあります国立台湾工芸研究発展センターで開催される、台湾・日本交流企画展「幸福工藝」展に出品いたします。
この度の交流展は、台湾国立工芸研究発展センター 台北ブランチと所属しております、公益社団法人 日本クラフトデザイン協会の共同企画・運営で実施されます。
両国の現在のクラフト作品を展示することにより、その共通点と相違点を比較するだけでなく、互いのクラフト文化への理解を高め、アジアに於ける新たなクラフトの発展へとつなげ発信していくことを目的としています。
幸福工芸というタイトルが表しているものは、「創る幸せ、使う幸せ」それは、工芸(クラフト)の原点と言えます。
展示内容につきましては、台湾、日本のそれぞれのキュレーターの方により、企画内容を決定していただきました。

台湾キュレーター 黄  世輝 國立雲林科技大學設計學院 教授兼図書館館長
日本キュレーター 唐澤 昌宏 国立工芸館 館長

会場:国立台湾工芸研究発展センター 台北ブランチ 4F企画展示室
(100 臺北市中正區南海路41號)

会期:2021年3月16日(火)~5月16日(日)

器の底を彫る刃物

何故か、底の深い器を彫るのが好きで、とりわけ口径が小さくて、底の深い器を彫るのに、面白さを感じます。
よく同業者から、木工ろくろで荒彫りして、そこから彫り込めば楽なのにと言われます。
彫りによる刳りものを仕事としていると、妙なこだわりがあって、丸くないものや、ろくろの端正なかたちをなるべく出したくないと言う思いがあって、陶芸で言うところの手びねり感覚の木の器に魅力を感じています。
浅いものだと、曲りの丸ノミなどで、何とか彫ることができるのですが、口径が狭く深いと、それに対応する道具が必要になるので、どんな道具を使うかと言うところが、ポイントになります。
これなら彫れそうだと思う道具は、見かけるととりあえず買って使ってみるを繰り返しています。なので、そんな道具がいろいろ増えてきます。
実際に使ってみて、頻繁に使うもの、ほとんど使わないもの、あるいは形状に応じて細かく使い分けるものなどがあります。
何かパズルの謎解きのように道具使いをしていますが、よく考えると木工技術の無さと、不器用さの結果のような気もします。

 

定番のお椀の出来上がり

栗の木を彫ったお椀の拭き漆塗りが終わり、出来上がりました。
口径は11.5センチ、高さ6.3センチです。
親指と中指でお椀の縁を持って片手で持ち上げられて、もう片方の手を添えれば、楽に口元へ運べるようにと、少し小ぶりな大きさにしたお椀です。
私が、一番使いやすいと思い定番にしているサイズです。
それでも、女性の手では、少し大きいかもしれません。
私のものは、陶芸で言うところの手びねりに近い作り方ですので、ひとつずつが微妙に違っています。
なので、持った感じや、飲み口の感じもそれぞれ異なります。それも持った位置によって、また違ってくると言うことになります。
私が考えて、使いやすいようにと思って作ったお椀の個性が、使い手の方にうまくマッチングして、しっくりとなじむマイ椀として使っていただけるようになればと思います。

手彫りのお椀手彫りのお椀