根来展を見てきました

先日、大阪市立美術館で開催の「NEGORO 根来 赤と黒のうるし」展を見てきました。
根来塗漆器の歴史的な名品を集めた展示会。
根来塗には、以前からとても興味があり、漆塗りのなかでもとりわけ美しく感じ、好きな漆器です。
会場には、100年から400年以上もの時を経て、現存する素晴らしい漆器が展示されていました。
長い年月に渡り使い込まれてきた、経年による赤と黒の漆の絶妙な美しさの表情がなんとも魅力的です。
根来塗は、意匠的に表現されるものもありますが、作為的でなく、使い込まれることで美しくなる、そんな漆器が作られているということが、本当に素晴らしいことだと思います。
そして、数百年使い込まれて、経年の美しさを出すに至った、堅牢な漆塗りと木地の高い技術にも頭が下がります。

 

三重県の武田製材所と本のトークイベント

先日、三重県大台町林業総合センターで開催された『原色 木材加工面がわかる樹種事典 第3版』刊行記念トークイベント&武田製材見学会」に行ってきました。
『原色 木材加工面がわかる樹種事典 第3版』の刊行に際し、共著者(河村寿昌、西川栄明)が木材に関するマニアックな話題のトークイベントです。
三重県大台町の山深い林業施設でしたが、全国から木に携わる沢山の方が参加されていました。
会場には、挽物木工家の河村寿昌氏の作品の小箱、木材見本(100種以上)などを展示され、それらを手に取りながら、各種木材の特徴(木目、硬さ、色、匂いなど)や用途などについて、編集者の西川栄明氏により話がありました。
特に河村さんからは、ロクロ加工時に感じる木の感触、挽きにくい材への対応など、挽物木工家ならではの経験に基づいたディープな話が語られました。
そして会場からほど近くにある、希少な木も含めた少量多樹種を取り扱うことで知られる武田製材有限会社を訪問させていただきました。
親しくさせていただいている武田製材有限会社の武田社長さんと久しぶりにお会いして、ほとんど流通していない樹種豊富なマニアックな在庫の材を見せていただきました。
木の図書館と名付けられた材木の陳列棚は、何時間での見ていたいスペースで、やはり購入してしまいました。
まさにディープな木とのかかわりの一日でした。

土のミュージアム SHIDOを訪問

先日、兵庫県淡路市(淡路島)にある、「土のミュージアム SHIDO」に行ってきました。
2023年のミュージアムオープン時以来の訪問です。
ミュージアムは、壁材の専門店の近畿壁材工業株式会社さんが運営されておられますが、工房えらむの建物を廃材で建築する際に、工房の壁材となる漆喰をおよそ20年前に購入させていただいた、壁材店さんなのです。
20年前、私の工房を建てる最終段階で、壁材となる漆喰の購入の仕方が、素人の私には判らず、最終的にたどり着いたのが近畿壁材工業さんでした。直接会社へ買いに行くと、若い社長さん夫妻が、知識のない私たち夫婦をとても丁寧に、気持ちよく対応してくださった印象が残っています。
近畿壁材工業さんのおかげで、私たちの工房も無事完成となり、木の器製作も本稼働に至りました。そしてこのミュージアムのカフェコーナーで、偶然にも私の作品を販売店で購入して、使用していただいていると言う、思いがけない巡りあわせに導かれての訪問です。
2年ぶりにお会いした社長さんご夫妻も私たちの訪問をとても喜んでくださいました。
「土のミュージアム SHIDO」は、地元の左官職人さんで、テレビの「情熱大陸」や「プロフェッショナル仕事の流儀」でも紹介された久住有生氏の土関係の施工(空間プロデュース)によるもので、様々な土の表情を表現し、とても緊張感のあるアート的空間となっています。
現在は、美術家スギサキハルナさんの作品展が開催されています。
土と言う地球を形成する根源的な素材の魅力と、それに導かれるように表現されるアート作品の空間づくりへのオーナー夫妻の思いを聞かせていただき、素晴らしいひと時を過ごさせていただきました。

土のミュージアム SHIDO  @soil_museum_shido
兵庫県淡路市多賀2150

アメリカ滞在記 最終章

アメリカ滞在記 最終章
最終回の写真は、私が感じたアメリカ情緒。

私の拙い投稿をご覧いただき、また沢山のコメントをいただきありがとうございました。
アメリカのお取引先の方や知り合いの方から、今度はこちらにも寄ってくださいとお声がけをいただいたり、その場所には行ったことがあるよとか、そのお店を利用したことがありますよと。
来年アメリカに行くので、参考にさせてもらいました。など。
そして、なんと言っても嬉しかったのは、私の工房に小学校1年生の時から、ずーっと毎年、夏休みの宿題の工作を作りにきていたS君から、私達が滞在していたカリフォルニア、デイビスの町と度々訪れて散歩したりお茶を飲んだりしていた大学UC DAVISに、大学生になったS君が一時期通っていて、大学と町の投稿写真がとても懐かしかった!とコメントを寄せてくれたこと。

ほんの少しですが、垣間見たアメリカ社会、そして日本との文化の違いを感じながら、これまでとは少し違った境地で、新たな作品作りに励んでいきたいと思います。

 

ミューア・ウッズ国定公園

アメリカ滞在記 カリフォルニア編
アメリカの雄大な自然を感じる所として、ミューアウッズ国定公園へ行って来ました。
私の滞在先から車で約1時間半、サンフランシスコからは約 1 時間ぐらいの所にある、樹齢数百年を数えるレッドウッドの森です。
ミューア ウッズ国定公園は、広さ 223 ヘクタールの広大な土地にレッドウッド (セコイアメスギ) が生い茂る森林。
どっしりとした巨木の森林で、高さが80m 近くまで育っている木もあります。
何百年も風雪に耐えてきた巨木の森は圧巻でした。最高齢のものは、少なくとも樹齢1200 年と推定されています。
北カリフォルニアの海沿いに広がる谷は、かつてレッドウッドで覆われていたそうですが、アメリカの開拓時代とともに大部分は伐採で失われました。
1900 年代初め、ウィリアム・ケント議員夫妻がこの土地を購入し、連邦政府に寄付し、1908 年、この荘厳な森林エリアは、ルーズベルト大統領によって国定公園に定められ、国立公園制度の確立に貢献したナチュラリストのジョン・ミューアの名が冠されたそうです。
原始の森を肌で感じる、本当に素晴らしいところでした。

アメリカのギャラリーと美術館

アメリカ滞在記 カリフォルニア編
アメリカの美術やクラフトの動向を知ることもひとつの目的としていましたので、滞在先の周辺のギャラリーや美術館を見てきました。
ごく近所のギャラリーなどに行っただけなので、美術やクラフトの動向を知るとは言え、あまりに狭い範囲の情報ですが、いろいろ感じるところはありました。
カリフォルニア州デイビスと言う町のアートギャラリーをいくつか見てきましたが、どこもスペースは広く、ゆったりした空間でした。現代アート的なものから、親しみやすいアートやクラフトまで、様々な作品が楽しめますが、どこも入りやすい雰囲気で、市民との一体感を感じるスペースだったように思います。
美術館は、UCデイビスの大学が運営する美術館に行きました。大変美しい施設で入場は無料でした。
アーティストDeborah Butterfieldによる、自然の流木や廃材などを使って表現された、ほぼ実物大の馬をモチーフにした造形作品の展示がされていました。
どの作品も自然を意識した、存在感のある作品で、とても素晴らしい作品でした。
私の作品作りにも、これらの作品にはインスパイアされるものがありました。

 

カリフォルニア・ハニーフェスティバル

アメリカ滞在記 カリフォルニア編
カリフォルニアの州都サクラメントにほど近いウッドランドと言う町で開催された「カリフォルニア・ハニーフェスティバル」に行ってきました。
自然豊かなカリフォルニアのハチミツは有名で、ハチミツ業者がたくさん集まり出店、関連の飲食店や雑貨店なども一堂に会してのにぎやかなお祭りイベント。
本来はウッドランドのメインストリートで開催される予定でしたが、この日はカリフォルニアでは珍しく寒々とした雨模様の日となり、会場を室内会場に移しての開催となりましたが、来場者も多く、アメリカらしいにぎやかなイベントでした。
メインのハチミツは、各店購入に際していろいろ試食させてもらえます。
広大な土地で採取されるハチミツは、特定の果樹や植物の花の純度が高く、それぞれ個性のはっきりしたハチミツで、日本のハチミツに比べてピュアな味が何とも美味しかったです。

アメリカの図書館

アメリカ滞在記 カリフォルニア編
カリフォルニアのデイビスと言う町に滞在していましたが、地元の公立図書館に行ってみました。
とても大きな図書館で蔵書が豊富なことはもちろんですが、特に子供の本が大変充実していました。
子供用のコーナーがしっかり設けられていて、子供が周りに気兼ねなく、ゆったり本を楽しめるようになっています。
子供の本の貸し出しに際しては、本といっしょに、読み聞かせ用のマペット人形もいっしょに貸し出されているのが、微笑ましく感じます。
また、ちょっとした楽器なども本と一緒に貸し出しされていて、日本とは違う図書館の充実ぶりを感じました。

アメリカの木工用品店

アメリカ滞在記、カリフォルニア編
木工を仕事にしている者としてはとても興味のある、アメリカの木工用品店を見てきました。
市街地にあるお店で、木工用品の専門店として規模は大きく、とても品揃えは豊富でした。
小さなねじ類からウッドターニングの機械、レーザー加工機に至るまで、ほとんどのものが揃っていました。
特にルータービットなどは非常に豊富。
かんな、のみ、のこぎりなどの手道具類、材木、塗料、接着剤、木工関係の書籍、木工機械も中型機械がいろいろ揃っていて、日本ではこれだけの木工用品の専門店は、なかなか無いのではないかと思います。
アメリカでのこの品揃えのお店は、木工を職業としている人のため以外に、自分で自宅をリーフォームしたり、趣味で木工を楽しむ人が多いことによるものではないかと思います。

 

アメリカのクラフトフェア

アメリカ滞在記 カリフォルニア編。
カリフォルニア州のデイビスと言う町に滞在していますが、この町で開催されるクラフトフェア「DAVIS Craft &Vintage Fair」を見てきました。
初めてのアメリカのクラフトフェアに興味津々の訪問。
出展数は40店ぐらいで、全体的にファッション雑貨やアクセサリーが中心で、木のボールペンやカッティングボードなどの木工品が少し、陶芸やガラス食器はありませんでした。
日本のような多種多様なクラフトが並ぶと言う感じではありませんでしたが、キッチンカーが並び、生バンドの演奏等もあり、まずまずのお客さんで、お祭りを楽しむような雰囲気のクラフトフェアでした。