グミの実と舟形盛器

工房の片隅に自生するグミの実が熟し始めました。
ちょうど田植えの時期に実るので、田植えグミや苗代グミと呼ばれたりするものもあるのですが、最近は、温暖化のせいか、熟するのが早くなっているように思います。
実が赤く熟するまでの、グラデーションがきれいなので、栗の木で作った舟形の盛器に入れてみました。
幅7センチ、長さ72センチの、拭き漆塗りのロングサイズで、ほとんどオブジェのような器。
いくつか作ってみましたが、こんなのは売れるのかなと思っていましたが、一番最初に購入いただいたのはヨーロッパの方でした。

木の角鉢とイチゴ

工房の畑で採れたイチゴを、栗の木を彫って、拭き漆塗りで仕上げた角鉢に入れてみました。
工房の隣の畑に植えたイチゴが、良い出来とはいえないもいのの、まあまあ収穫出来て、今年は沢山いただきました。
市販のイチゴは、とても甘くて、ほとんど酸味がないものが多いのですが、我が家のイチゴは、酸味があって、ほどよい甘さで、とても好みの味です。
ほとんど小さなものばかりですが、稀にできる、ちょっと大きくてかたちのいいものを、自家製の木の鉢に入れてみました。
漆塗りの器に、果物も合うような気がします。

朝日現代クラフト展のころ

5月の下旬になると、確か2009年まで開催されていたクラフトの公募展、「朝日現代クラフト展」に熱心の応募していた頃を思い出します。
およそ30数年前に、独学で始めた木の器製作を職業にしたいと思ったものの、業界経験もなく、教えを乞う人もなく、当時はインターネット環境もほとんどなく、クラフトフェアも松本と丹波ぐらいしか思い当たらず、どうしたものかと思っていました。
プロになるためには、個展をやるか公募展で認められるかぐらいしか思いつきませんでしたが、とても個展をやる力量などなく、とりあえず公募展で技量を試して見ようと。
この頃5月の下旬になると、朝日新聞の夕刊に「朝日現代クラフト展」の受賞作品と講評が大きく記事として取り上げられていました。
コンテンポラリーなクラフトを軸足に置いた公募展でしたが、もうこれは見に行くしかないと、メイン会場の大阪梅田の阪急百貨店にでかけました。
広く薄暗い会場に展示された、巨大とも思えるクラフト作品、そしてありとあらゆる技法で、強いメッセージを発して来るような作品に、これは何だとまた衝撃を受け、会場の雰囲気にのまれながら、ふわふわと見て回った記憶があります。その後数年は、ちょうどバブル期の前後だった頃でもあったせいか、出展作品の購入予約も相当なもので、当時は異様な熱気に包まれていたような気がします。
作品は、コンテンポラリーなものが中心ですが、海外からの応募もあり、伝統工芸を駆使したものや、地場産業の高度な技術を生かしたものなどもあり、挑戦的で斬新な作品等が入賞し、高く評価されていました。
この会場に、自らの作品も並べてみたいと言う強い衝動にかられ、落選を繰り返しながら、1999年に入選を果たし、5年連続で入選することができました。
審査員も、柏木博さん、喜多俊之さん、日比野克彦さんや角偉三郎さんなどもおられ、出品する側も審査する側も、何か熱い熱量のようなもを感じました。
それから、木の器作りを職業にするまでに、かなりの時間を要しましたが、この公募展で感じた熱い思いが今の私の作品に反映されているかと言うと、お恥ずかしい限りです。

 

2023年5月24日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ

リム皿にケーキを入れて

クルミの木で作った24センチ径のリム皿にケーキを入れました。
日頃は、作った器を実際に使った投稿が少ないのですが、実際に器に盛ってみると、手前味噌ですが、器が良く見えます。もちろんケーキも美味しそうに見えて、相乗効果を感じます。
ケーキは、兵庫県明石市の「やきラボ」さんのチェリーのクラフティー、プリンのような生地の中にチェリーを入れてオーブンで焼き上げたケーキ。
見た目よりあっさりとした甘さで、素材のおいしさを味わう、とても美味しいケーキでした。

2023年5月19日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ

栗の木のトレイ

ご注文をいただいていた、栗の木のトレイ、縦16、横26、厚さ1.8センチの漆塗りが仕上がりました。
定番の一人サイズのトレイですが、この度は、筋彫りを入れています。
白木のオイル仕上げもいいですが、漆塗りにすると、筋彫りが落ち着いた雰囲気になりました。
漆塗りの色合いも、真っ黒ではなく、微妙に杢目が透けて見える感じの仕上げにしています。
複数枚ご注文をいただくと収納も気になるところで、収納のためのスタッキングにも考慮して作っています。
先日、納品に行ってきましたが、とても気に入っていただけました。

2023年5月10日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ

それぞれの工房展2023に行ってきました

今年のゴールデンウィークは、工房Openすることもなく、ほとんどどこにも行かず、工房で仕事の日々を送っていましたが、京都へ「それぞれの工房展2023」を見に行ってきました。
京都府福知山市や綾部市在住の工芸家の有志が、およそ30年前に始めた、各工房を公開展示するイベントです。
イベントが始まって間もなくに、福知山市の春日工房さんにこの活動を教えていただき、工房訪問させていただいていましたが、近年のコロナ禍で休止していたイベントを再開するとの案内状をいただき見てきました。
今回は、綾部市の海老ケ瀬工房(陶磁)、苔柿窯(陶)、古汲窯(陶)、福知山市の春日工房(木工・染)の4軒。
苔柿窯さん以外は、もう古いお付き合いの方ばかりなので、久しぶりにお会いして、とりとめのない話で楽しくすごさせていただきました。
全員、古民家に移り住んで、それぞれにリノベーションしながら、地域に溶け込んで創作活動されておられるのが共通点で、とてもしっかりした作り手のネットワークもあってうらやましい限りです。
福知山市の春日工房さんは、ご主人が木工、奥さんが染をやっておられて、およそ30年前に知り合って以来、私たちのお手本としての春日工房さんは、変わらずとても素敵な工房と実感して帰ってきました。

2023年5月6日 | カテゴリー : 作家の方々 | 投稿者 : えらむ