栃の角皿の仕上がり

5月31日のブログで紹介しました栃の角皿の漆塗りが終わり、仕上がりました。
今回の栃の板は、節や入り皮、ひび割れのある個性的な板でした。
あまり個性を強調しすぎると食器として落ち着かなくなるので、少し黒っぽい漆などを使いながらで全体をシックに抑え、栃の木特有の杢もあまり強く出すぎないようにしました。
最後は、漆の艶を多少おさえて仕上げとすることにしました。

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角皿 栃材 拭漆

 

 

綿の栽培 本葉

5月28日にブログで紹介した、工房の畑に植えた綿が、少し成長しました。
綿は、双葉が出てしばらくは、根の成長に時間を費やすため、10センチぐらいの大きさからなかなか大きくなりませんでしたが、最近やっと本葉が出て20センチ前後の大きさになりました。
日照り続きの日が長く続いたかと思うと、大量の雨が降り、順調に成長してくれるとよいのですが。

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木の片口を彫る

栗の木を彫って片口をつくりました。
片口は、注ぎ口の水キレを注意して作れば、材料の大小に合わせていろいろな形や大きさのものができるので、好んで作っています。
厚さ7㎝の厚めの栗材を使って、少し深く容量のある片口を作ることにしました。
材料の雰囲気を見ながら、今回は彫る輪郭をフリーハンドで描き、彫っていきます。注ぎ口は、厚みのある材なので、U字状に彫り込まず、穴をあけて作ることにしました。その分、注ぎ口はちょっと手間がかります。
材を深く彫るのはけっこう大変な作業です。いろんな鑿を使って彫っていきます。
容量のあるぽってりとした片口ができましたので、酒器などにも使えるよう渋めの漆仕上げにしたいと思います。

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豆皿とそら豆

一枚の板から器を作るとき、出来るだけ板を無駄にしないよう木取をするのですが、どうしても小さな端材が出来てきます。そんな小さな端材で作って楽しいのが豆皿。
気負わず端材にフリーハンドで皿の輪郭を描く。そしてざくざく彫っていく。陶芸で言えば小さな粘土の塊を指先で伸ばしながら、小さな皿のかたちにするように。

出来上がった豆皿に、工房横の畑で採れたそら豆の塩茹でを入れてみました。

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豆皿 栗材   左:オイル仕上げ  右:拭漆

 

 

秋岡芳夫さんのこと その2

先日、工業デザイナーの秋岡芳夫さんのことを書かせていただきましたが、私は残念ながら秋岡さんとお会いしたことはありません。
しかし、秋岡さんとのことで興味深い思い出があります。
もうかなり以前のことですが、秋岡芳夫さんが審査員長をされておられたクラフトコンテストに応募した時のことです。
その時のコンテストでは入賞できませんでしたが、コンテストの会期終了後、コンテストを運営されておられた方から、入賞者の選考状況についてお話がありました。
大賞など大きな賞がすべて決まり、最後に一番最後の入賞者を決める際、私の作品と、もう一人ほぼ同じコンセプトで製作された作品が候補になったそうです。どちらを入賞者とするか審査員の方々の中で意見が分かれため、最終的に審査員長の秋岡さんの判断にお願いしようということになったそうです。秋岡さんの選定でもう一人の方の作品が入賞と決められ、私は入賞から外れました。同じコンセプトで作られたもう一人の方の作品は、私のものよりシンプルにまとめられた作品でした。私はそのことを聞いて、秋岡さんの選考に妙に納得した、そんな思い出があります。

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秋岡芳夫さんのこと

私が登山に熱中し、何か自然と暮らす仕事がしたいと漠然と思っていた時に、工業デザイナーの秋岡芳夫さんの本に出会いました。もう25年以上も前のことになりますが、秋岡さんの本と出会ったことで本気で木工を職業にしたいと考えるようになったと思います。
入手できる本はいろいろ読みました。本の中には、木のすばらしさ、木の道具を使い込む良さなど、それまでほとんど気づかなかった木のことが紹介されており、目からうろこの出会いでした。
そして工業デザイナーとして、モノには人に合った大きさやサイズがあることを紹介されていました。
私もすぐに本の中に紹介されている日本人に合った座高の椅子と、それに合う高さのテーブルを作って使ってみたところ、楽に座れる、仕事や食事がしやすい、来客用テーブルとしても違和感がないなど、モノのサイズの重要性を実感することになりました。
秋岡さんのことばに、「木はそる、あばれる、狂う、いきているからだから好き。」と言うのがあります。今やっと木の器づくりを職業としていますが、木とどう付き合うかを教えてくれているように思います。今も時々その言葉を思い浮かべながら仕事をしています。
秋岡芳夫さんは1997年に亡くなられました。本当に残念です。

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