森口信一さんの器

写真の器は、森口信一さんの展示会を見に行った時に買った、森口さんが彫られた栗の木の器です。
森口さんは、石川県の大聖寺川の谷あいにあった我谷村の、ダムに沈んだその村で日々の暮らしの道具として作られていた我谷盆を研究され、復興の一人者として我谷盆を作り続けおられる方です。
展示されていた、野性味と美しさを兼ね備えた我谷盆は、本当にすばらしいものでした。
我谷盆と一緒に並べられていた、小さな栗の器、写真の器もとても心惹かれるものでした。栗の丸太をくさびで割ったと思われる表情と、その形状を生かしながら鑿を入れて、なすがままの自然な表情の姿の器にとても魅かれ購入しました。
この森口さんの器を見ていると、私の器作りは、木との対話と言いながらも、あざとく良く見せようと言う思いばかりが出ているように感じます。
会場にいらっしゃった森口さんに、私も木の器作りをしていることをお伝えすると、本当に丁寧に我谷盆のこと、具体的な技法のこと、漆の塗り方のことなど、何ら臆することなく、私に教えてくださいました。
この器を見るたびに、森口さんの木から感じるものを器にする心、人と接するこころに触れ、これからの私の木の器作りをどうすべきかに思いを巡らせています。

 

 

 

 

 

 

 

サンドブラスト初体験

先日、友達のガラス作家 藤本悦子さんが兵庫県加古川市で運営しているサンドブラストのガラス工房「Glass Garden」を訪ねて来ました。
そしてサンドブラストの初体験により作品を制作しました。
サンドブラストは、圧縮空気でガラスの表面に砂を吹き付けることによって彫刻する技法のことで、クリスタルグラスをはじめ、数層の色ガラスを重ねた外被せガラスを彫刻することで、も趣のある作品を創ることができます。
作家の藤本悦子さんは、サンドブラストガラス工芸の創始者で世界の第一人者の竹内洪氏に師事され、大変多彩で美しいガラス工芸作品を作られています。
藤本さんは、サンドブラストの講座も開いておられ、私も初心者向けのサンドブラストの体験をさせてもらいました。
既製のお皿に自身でデザインした模様をお皿の裏側にマスキングし、サンドブラストの機械で彫刻するのですが、デザインとマスキングテープ切りにほとんどの時間を要し、サンドブラストの機械での彫刻は、ほんの数分で終了しました。高度なものは、これを何度も繰り返し、ひとつの作品を作るのに数か月を要するものもあるそうです。
はじめてのサンドブラスト作品は、デザインも出来上がりも、自身の表現がリアルに出て、朴訥とした作品にになりましたが、なかなか面白く、また機会があればやってみたいと思います。
機会がありましたら、ガラス工房「Glass Garden」の講座を受講ください。

「Glass Garden」兵庫県加古川市加古川町粟津249-1 太陽ビル1階
PHONE/FAX 079-423-0303

 

 

 

 

第十回 一脚展+2020を見てきました

現在、神戸市の「竹中大工道具館」で開催されている「第十回 座る・くらべる一脚展+2020」を、隣町の親しくしていただいている木工家の方から、案内をいただいたので見てきました。
会場の竹中大工道具館は、1984年に神戸市中山手に設立された、日本で唯一の大工道具の博物館を、新神戸駅近くの竹中工務店ゆかりの地に移転して新たに開館されている施設の1階ホールですが、都心とは思えない、素晴らしい庭園に囲まれた、落ち着いた佇まいの会場です。
会場には、11名の木工作家が製作された新作の椅子一脚と出展協力者の方の椅子が並べられています。11名の方の椅子は、すべて座ることができ、アンケートにより、デザインや坐り心地を投票できるようになっています。
また、今回は、11名の方のそれぞれの制作過程を映像で紹介されていて、制作過程の一部を実際に見ることができるのは、とても興味深いものでした。
それぞれの椅子と言うものの解釈で、日々の仕事の中から生まれてくる、座り心地と機能性を追求した椅子は、どれも視覚的にも美しく、それぞれの座り心地がありました。
竹中大工道具館は、収集された古い時代の優れた道具や、「道具」を使いこなす「人」の技と知恵や心、そこから生まれる「建築」とそれを取り巻く木の文化について、紹介されており、木工好きにはとても興味深い施設となっています。
展示会は、10月22日まで、開催されています。

 

 

道刃物工業さんが来られました

今日は、親しくしていただいている道刃物工業株式会社の社長さんが、工房に来られました。
道刃物工業さんは、工房の隣町の三木市で彫刻刀や彫刻鑿を作られている会社です。
私が木の器作りを始めた頃に、購入しやすい価格と安定した切れ味と使いやすさが気に入って購入して以来、今も愛用している道具メーカーさんのひとつです。
とりわけ道刃物工業さんには、道具の購入に際しては、先代社長さん、現社長さんともにいつも親身に対応していただいていました。
今日は、最近力を入れておられる、カトラリーや器制作用の刃物の新製品の使い心地や、これからの道具についてのいろいろな話の機会にと来られました。
実際に新作の道具を使わせていただき、いろいろ率直に意見交換させていただくとともに、これまで私が長く使用している道具に対する使い心地、改良してほしいと思う点、新たにあったらいいなと思う道具などについて、気さくに意見交換させていただきました。
直接、道具会社の社長さんにお出でいただいて、私のような名もない末端ユーザーと親身に意見交換していただけたことは、本当にありがたく思います。

志村ふくみ展を見てきました

姫路市立美術館で開催されている「志村ふくみ展 いのちを織る」を見てきました。
国宝姫路城のすぐ東側に位置する、姫路市立美術館で、染織家 志村ふくみさんの展示会が開催されています。
志村ふくみさんは、1924年生まれの染織家で、人間国宝として、現在も現役として活躍されています。野山の草木から採取した染料で糸を染め、独自の感性で織りあげると言う大変手間のかかる作業を、ひたすら追求し素晴らしい作品を創作されています。
沢山の着物にしつらえられた展示作品のすべてが、自然素材をもとに創り出されたもので、自然を尊び、自然の素晴らしさを表現しているものと感じます。
私自身も、木や漆と言う自然素材を中心に作品作りをしていますが、志村さんの作品のように、じっくり自然と向き合い、その思いを、熟練の技術や感性から表現していかれる姿勢には、非常に学ぶべき点が沢山あり、自身の作品作りの目指すべき世界が、まったく遠く及ばない世界であることを、感じる機会になりました。

 

 

お客様の作品

予てより、木の器作りに興味をもたれて、私のワークショップにご参加いただいたりしているお客様より、自身でも木の器を作ってみたので、一度見ていただきたいと工房に持参されました。
お持ちいただいた作品は、ご自宅の建設用に使われた建材の端材とのことでしたが、上質な杉材や高野槙などを丁寧に彫られた作品でした。
初めて作られた器とのことでしたが、どの器も思い入れを持って真摯に制作された印象の器で、とても好感の持てる器でした。
器についてのアドバイスを求められましたが、正直なところ私自身は、ほとんど正確な木工技術を身に着けないまま、独学で始めた木の器製作なので、技術的なアドバイスなどはできない身の上です。
私自身も1980年代の半ば頃、ホームセンターで買ってきた建材を、版画用の彫刻刀で彫って、おつまみ入れを作ったのが、そもそもの木の器作りのスタートでした。そんな思いから、私の作品作りの背景に近いものを感じます。
良い作品を作っていくには、しっかりした木工技術を習得していかれることは何よりですが、私が経験して得てきたことなどを、少しでもプラスになればと話させていただきました。
また、次の作品ができたら、よければ見てくださいとのことで、次は、どんな作品を見せていただけるのか楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャバラの車

私の古くからの木工友達で「木の家具工房 林工亘」を営んでいる神吉臣人さんが作った、玩具の車。
神吉さんは、岐阜の高山で木工技術を習得し、現在は、和歌山県の北山村の廃校の校舎を工房に活動しています。
写真の車は、北山村の特産品で、ジャバラと言う柑橘系のくだものの剪定した枝を車体として利用して作ったもの。彼の個展に展示されていたもので、しっかりしたデザイン家具の中に会って、ちょっと異色な存在でしたが、自然の木の曲がり具合を生かした、なんともシンプルでありながら、思わず手にしてみたくなる逸品でした。
持ってみたジャバラの木は、とても硬質で、しっかりしており、樹皮も簡単にはがれる感じもなく、自然の木の良さと、しっかり握って遊びたくなる感じがとても気に入り、思わず買ってしまいました。
一見単純そうな自然木の車ですが、曲がったいびつな枝に、4つの車輪を同じ高さにかつ垂直に取り付けるのは、私には出来そうにないなと感じました。

兵庫民芸 第51号

昨年、入会させていただいた兵庫県民芸協会の機関誌「兵庫民芸 第51号」が送られてきました。
私が、入会して始めて頂いた協会の機関誌です。
兵庫県民芸協会の存在は、かなり以前から知っていて、とても興味を持っていましたが、入会となると、会員の皆さんは、非常に優れた民芸・工芸の作家の集団と言うイメージがあり、入会など縁のない世界と思っていました。
昨年、展示会を見に行った会場で、兵庫県民芸協会は、民芸に興味のある方なら、だれでも入会できますよと言われ、会員の尊敬する作家の方や、親しい作家の方に勧められ入会を決めました。
冊子の会員募集の欄には、「民芸に興味のある方はどなたでも会員になれます。平和な世の中をしっかり守り、生活の中の美をみんなで育てていきましょう。」とあります。
売れる商品を作り、沢山収入を得ることが、暮らしに平穏をもたらすと考えがちなになる時代ですが、「平和な世の中をしっかり守り」と言う言葉が、どこかとても良い響きに感じます。
冊子「兵庫民芸」は47ページのとてもしっかりした内容の冊子で、これだけのものを発行すること事態、大変な作業だと思います。目次の版画は、棟方志功 氏によるものとあり、長きにわたって組織の趣旨を守り、組織を運営する方々の真摯な取り組みにより、運営されてきた会であることが感じられます。

光ファイバーアーティストを訪ねて

先日開催していた「アートプランおの展覧会」に、私の知り合いで、現在アメリカと日本の二重生活をしている、奥さんが日本人、ご主人かアメリカ人の夫妻に、良ければ見に来てほしいと連絡したところ、快く見に来てくれました。
展覧会場では話が弾み、主人は光ファイバーアーティストとして活動しているので、ぜひ今度は私の家に来なさいと招かれ、一緒に出展していた作家のKさんと昨夜、日本での住まいを訪ねて来ました。
ご主人のLさんは、光ファイバーによるアート作品を1985年に、世界に先駆けて、アメリカでいち早く開発されたそうで、開発当時光ファイバーによる装飾は大変斬新で、アメリカの有名シンガーやアーティストのコスチュームの装飾に使用されて有名になられたそうです。
現在は、LEDの普及により、低電力で携帯可能な光ファイバーによる装飾を応用して、より身近な生活用品やインテリア等の開発に取り組まれているそうです。
私個人は、普段あまり目にすることが無かった光ファイバーによるアート作品ですが、実際の作品を見せてもらうと、その緻密で繊細な輝きや、コンピューターやスマホによるプログラム制御により、動きのある、ドラマチックな点滅や演出が、なんとも魅力的で一度に虜になってしまいました。
Lさんから、今度は一緒にコラボした作品を作ろうと提案され、すっかりその気になってしまったのですが、冷静に考えると、なかなか簡単ではないコラボ作品になると思います。
こんな異素材との出会いは考えてもみなかったこと、これも何かのご縁と、楽しんでみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京のギャラリー巡り

先日は、テーブルウェア・フェスティバル2020の開催に合わせて、久しぶりの東京。せっかくなので、東京ドームでのフェスティバル以外にいくつかのギャラリーなどを訪ねてきました。

LIXIL GALLERY(銀座)
「九つの音色」宮田亮平・三田村有純・須田賢司 氏ら9名の超大御所による作品展。
「ものいう仕口」白山麓で集めた民家のかけらと題して、重厚な古民家の仕口の展示が圧巻。
「伊勢崎晃一朗 展」備前焼の人間国宝で父の 伊勢崎 淳 氏の下で修業された陶芸家の作品展

銀座 一穂堂(銀座)
「第5回 翔ぶ鳥 展」中堅実力派作家26名による美術工芸品の作品展。

AC . GALLERY(銀座)
「濱比嘉 詩子 展」味わい深い陶人形展。私が夏にグループでの企画展でお世話になることになり、ご挨拶を兼ねて。

Kaikai Kiki Gallery(元麻布)
「山田 隆太郎 陶展」アーティスト村上 隆さんが運営されているギャラリー、畳スペースもあって広くとても居心地の良いギャラリー。山田隆太郎さんの陶作品がすごく良かった。

桃居(六本木)
「浅井 庸佑 田中 俊也 二人展」陶芸家と漆の二人展で、おふたりとも凛として落ち着いた作品。

21₋21 DESIGN SIGHT(六本木)
「Hacoa Exhibtion & Shop」木工プロダクト製品のHacoaの木製雑貨からチョコレートにいたる物語の展示。
「まる秘 展 めったに見られないデザイナーたちの原画」日本の有名デザイナー、クリエイター、建築家など26名の普段公開されることのない舞台裏、作業現場の資料やノート、アイデアスケッチなどを公開展示。なかなか見どころ満載の貴重な展示会でしたが、来場者の多さに圧倒されました。

番外編(有楽町)
「大江戸骨董市」有楽町・東京国際フォーラム前の広場で開催されている骨董市を時間ぎりぎりまで楽しむ。骨董・古道具好きの私には興味津々。東京の骨董市はなぜこんなにいい会場でやっているのだろうと思う。

東京ドームで開催の「テーブルウェアフェスティバル2020」の見学と合わせ、これぞお上りさんと言うに相応しい、1泊2日で巡った東京は、どこも刺激的で楽しい時間を過ごすことができました。