栗材でお椀を彫っています。
お椀のサイズは、直径12センチ、高さ6センチ。
これは、私が好きだった工業デザイナーの故 秋岡芳夫氏が著書に書かれていた、身度尺によるもの。
秋岡氏によると、古くから使用されているお椀のサイズは、みそ汁を入れる汁椀も、ご飯を盛る茶碗も口径を測ってみるとほぼ4寸(12センチ)。材質も違えば、産地も違う椀と碗が、工業規格も無い時代に、揃いの大きさに作られている。それは、4寸という椀の口径は、ちょうど親指と人差し指を広げた時に、しっくり収まる寸法だから、と言うことです。
古くから、人間のからだを基準にした「身度尺」によってサイズが定められている。「寸」(3.03cm)も「尺」(10寸・30.3cm)も「丈」(10尺・303cm)も、みんな人間のからだの寸法から導きだされた「身度尺」によるものとのこと。
このことは、もの作りをして行く上で、とても基本的で、大変重要なことだと思います。
とかくデザインや素材の大きさにとらわれて、使い勝手の悪い作品を作っていることがしばしばなので、このお椀は、秋岡氏のことばをもとに、あらためて彫ってみました。