写真の器は、森口信一さんの展示会を見に行った時に買った、森口さんが彫られた栗の木の器です。
森口さんは、石川県の大聖寺川の谷あいにあった我谷村の、ダムに沈んだその村で日々の暮らしの道具として作られていた我谷盆を研究され、復興の一人者として我谷盆を作り続けおられる方です。
展示されていた、野性味と美しさを兼ね備えた我谷盆は、本当にすばらしいものでした。
我谷盆と一緒に並べられていた、小さな栗の器、写真の器もとても心惹かれるものでした。栗の丸太をくさびで割ったと思われる表情と、その形状を生かしながら鑿を入れて、なすがままの自然な表情の姿の器にとても魅かれ購入しました。
この森口さんの器を見ていると、私の器作りは、木との対話と言いながらも、あざとく良く見せようと言う思いばかりが出ているように感じます。
会場にいらっしゃった森口さんに、私も木の器作りをしていることをお伝えすると、本当に丁寧に我谷盆のこと、具体的な技法のこと、漆の塗り方のことなど、何ら臆することなく、私に教えてくださいました。
この器を見るたびに、森口さんの木から感じるものを器にする心、人と接するこころに触れ、これからの私の木の器作りをどうすべきかに思いを巡らせています。