親しいお客様から、欠品していた長方形の角鉢と、ハイジの使っていたようなお椀を作って欲しいと、ご注文をいただきました。
ハイジの使っていたお椀とは、アルプスの少女ハイジのアニメに登場してくる、食事用のお椀のことだと私は思って、軽い気持ちで引き受けました。
当然現物は私も見たことがなく、詳しい希望のサイズも聞かないまま、私がアニメで見たことがあるような、イメージだけで作らせてもらいました。
栃の木で、コロンとしたお椀を彫って、拭き漆塗りで仕上げました。
そもそも1800年代後期のスイスに、漆器など無かったと思いましたが、あまり気にせず実用性を考えて漆塗りにして、ちょっと違うかもしれないけどと、お客様に渡しました。
お客様からは、見かけも手に取った感じも、ハイジのミルク椀でした!と。かなりひいき目なような印象もありますが、嬉しい感想をいただき、ほっと胸をなでおろしました。
後日、お客様からメールで、お客様の所へ来られた方に、何も説明せずこのお椀を渡したところ「ハイジが山羊の乳を飲んでいたお椀みたい」と呟かれて驚いたと、思いがけない知らせをいただきました。
ハイジのお椀とは何だろう。よし!今度は漆塗りにはせずに、これぞハイジのお椀と言うのを作るぞと、思いを新たにしました。