栗の木で、鎬(しのぎ)の片口を彫ってみました。
長い年月をかけて年輪を重ねながら成長した木に、尊敬の念をいだきながら、その時間を重ねるように、手でしのぎを一本、一本彫りこんでいく作業が面白くなって、最近は、しのぎの器をよく彫るようになりました。
とは言っても、木が成長に費やした年月と比較すると、手仕事の時間は、ほんの一瞬に過ぎないのですが。
今回の片口は、オーソドックスな片口ですが、少し包み込むような丸い形のものなので、しのぎのラインも、丸鑿で一気に彫るのが私には難しく、少しずつ彫り進んでいく作業の繰り返しで、美しいラインとは言い難いかもしれません。
それでも、漆を塗った出来上がりを想像しながら楽しく彫りました。