深い器を彫る道具

木の器を彫っていてよく聞かれることがあります。
深い器、とりわけ口径の狭いものを彫るとき、どんな道具で彫られますか?
木の器を彫り始めたころから、深い器を彫るのが憧れで、始めたころは分厚い木がなかなか手に入らず、見つけたら何でも買っていたころがありました。
器の口径が狭くて、深い器を彫るのは確かに苦労します。
いろいろ苦労しながら最初に見つけたのが、写真の刃物。
工房からほど近い兵庫県三木市に本社がある、道刃物工業株式会社さんの「面裏彫り」。能面の裏彫り用に作られたものだと思いますが、この刃物のカーブが絶妙で、深い器の側面にカーブの屈曲部分がてこのように当たり、刃が底の部分をさらえるようにすくって、彫ることができます。
この道具に出会ってから、作品の幅がとても広がりました。
1本3000円少々と、それほど高い道具でもなく、ハイス鋼で扱いやすい刃物です。
これまで何本か購入しましたが、使ってみると、刃物のカーブと刃の角度が、商品ごとに微妙に違う印象があって、買い求める際によく吟味するか、自分で調整する必要があるように思います。
深彫りには、道刃物工業株式会社さんの「面裏彫り」以外の道具もいろいろ使っていますが、意外と使いやすいベーシックな道具として愛用しています。

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2016年9月20日 | カテゴリー : 作品づくり | 投稿者 : えらむ