木の器を作り始めたずっと以前は、塗装にはニスやウレタンなどを塗っていましたが、あるとき透明の漆の塗られた家具を見て、なんて綺麗だろうと衝撃を受けました。
それからどうしても自分の作った器に漆を塗ってみたくて、漆を塗っているという方に、透明の漆を塗っては拭き取る作業を繰り返し、木地を美しく引き立たせる、拭き漆と言う塗り方の基本的な手ほどきを受け、自分で塗り始めました。しかし実際に自分で塗ってみると、漆にかぶれ、思うように乾かない、発色が悪いなど失敗から試行錯誤を繰り返しました。漆と言う樹液を塗ることは、化学塗料を乾かすという行為とは全く異なり、酵素と言う生き物を固まらせる行為で、うまく付き合えるようになるまでかなり時間がかかりました。しかし木との相性は抜群で、固まると堅牢で自然の産物のため安全であり、何よりも木の個性を美しく引き出す、すばらしい塗料だと思います。
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お盆を彫る
木の器づくり
サラリーマンをしていたころは、社会人山岳会に所属し休日のほとんどを山で過ごす日々を送っていました。そんな日々を過ごす中で、いつも山の見えるところで生活したい、木や森に囲まれて暮らしたいと思うようになり、いつかそんな生活ができないかと考えるようになりました。
山の本ばかり読んでいた時に、工業デザイナーの秋岡芳夫氏やオークビレッジの稲本正氏の本と出会い、木の道具の素晴らしさや木と暮らすことの良さを知り、私が漠然と考えていたことがここにあるような気がしました。何か自分でも木で何かできないかと言う思いから、機械や場所がなくても木を手で彫って器をつくることならできるのではないかと言う思いからスタートしたのが、木を手で彫る刳りものの器づくりでした。
それから多くの方の作品に触れ、多くの方のアドバイスや指導を受けながら、ひたすら試行錯誤をくりかえし木の器づくりを続けてきました。とても遠回りをしましたが、昨年サラリーマンを退職し、刳りものの木の器づくりを職業として生活することをスタートしました。


