ご注文をいただいて、久しぶりに栗の木でトレイを彫りました。
縦16、横26、厚さ1.8センチの定番のトレイです。
以前にご注文をいただいて、作らせていただいたギャラリーでお使いいただいているものですが、そのお客様より同じものが欲しいとのご要望で、ご注文をいただきました。
今回のトレイは、お客様のご要望で、底の部分に浅い筋彫りを入れています。
筋彫りを入れると、トレイにリズム感が出て、落ち着いた雰囲気になりました。
複数枚ご注文をいただくと収納も気になるところで、収納のためのスタッキングにも考慮して作っています。
こうして、実際にお使いいただいているものを見て、気に入っていただいて同じものが欲しいと言っていただけることは、とても嬉しいことです。
今回は、拭き漆塗りで仕上げての納品予定です。
カテゴリーアーカイブ: 作品づくり
片口を彫る
栗の木で片口を彫りました。
定番の片口として長く作っているものです。
厚さ8センチほどの片口ですが、片手で持ちやすくするために口径は小さめにしています。
口径の小さなものを深く彫るのは、少々大変です。
深い器を彫るのは好きで、専用の鑿や道具をパズルのように使いながら彫っていきます。
こんな作業が意外と面白くて、深い器の彫りが好きなのかもしれません。
彫った片口は、漆を塗って仕上げます。
木の片口は、熱くても、冷たくても保温性があり、持ちやすいのがいいところです。
hatsutokiの日傘のハンドル製作2023
兵庫県西脇市の播州織のファッションブランド「hatsutoki」さんの、自社ブランドのテキスタイルを使った、オリジナル日傘のセミオーダー用ハンドル(傘の柄)を今年も作らせていただきました。
自然をモチーフにした優しい色づかいやデザインのテキスタイルを使ったアパレル、ファッションアイテムを作られている、人気のファッションブランドhatsutokiさんが作られた日傘をイメージに、私がいろいろな木を使って、気ままにハンドルを削り出して作りました。
樹種もさまざまで、クルミ、トチ、ナラ、オリーブ、栗、ウォールナット、梨、ツツジ、ブナなど。
ハンドルは、つるつるに磨かず、刃物で削り出した状態で仕上げているので、手にしっくり馴染みます。
塗装は、食器にも使われる安全な塗料を使い、木のナチュラル感をそのままに、汗などによるべたつきを抑えるようにしています。
自然をモチーフにした生地の日傘と、天然木のハンドルは、しっくり馴染んで、自由に組み合わせて自分だけの素敵な日傘が作れます。
これから日差しの厳しい季節になります。この機会に一点もののマイ日傘をお供にされてはいかがでしょうか。
写真は、まだ塗装前の制作中のものですので、色合いが薄っすらしています。
蓋物の器
四角い箱などを手で彫ると、とても面倒ですが、なぜか手で彫った箱に魅かれるものがあります。
そして、箱には蓋があったほうがカッコいいと感じます。
ただでさえ、面倒な箱彫りに蓋をつけると、お椀や鉢に比べると、倍以上の手間と時間がかかります。
それでもそんな箱ものの蓋がぴったりと収まると、不思議な達成感が、疲労を帳消しにしてくれます。
昨年のクラフトフェアで、とてもいびつな形の蓋物を作って販売していたら、若いミュージシャンの方が買ってくださった。
ほとんど実用性を考えず作っていたので、売れることなどほとんど期待せずに持っていったのですが、これに色々入れたいものがあるとのこと。
蓋物の箱、それは単なる器と違って、何かストーリーが生まれる要素を持っているのかもしれません。
写真のものは、残念ながらその時のものではありません。
豆皿を想う
2023年が明けて、工房えらむもゆっくり始動しています。
昨年12月は、体調管理に重点を置いて、ほとんどスローペースで過ごしていたこともあって、新年もペースが上がらず、なかなか本稼働とならない日々です。
まだ今日までお正月、松の内と言うこともあって、これまで作ってきた吉祥柄の豆皿について考えています。
昨年、少しバリエーションを増やしたいと、鯛やオシドリ、千鳥などを新しく作ってみました。
とりわけ、おめでたい鯛の豆皿が作りたくて、いろいろ考えた結果の豆皿なのですが、あまりにオーソドックスなデザインで、その後ほとんど作らず仕舞いとなっています。
工房にやって来た美術専攻の女子大生に鯛の豆皿を批評してもらったら、もう少しデフォルメした方がいいんじゃないかと思うと、率直に言われ、その通りと思うのですが、なかなかデザインが浮かばず、そのままになっています。
これまで作ってきた豆皿は、古くから意匠的にほとんど確立されたデザインを、そのまま豆皿に写し取ったようなものなので、恥ずかしながら、そのデザイン性に依拠しているものと言えると思います。
小さな豆皿ですが、シルエットだけで存在感が伝わるような、シンプルで面白いオリジナルの豆皿が出来ないだろうかと思う日々です。
三段入れ子箱を作る
ご注文をいただいて、栗の木を彫って、三段の入れ子箱を作りました。
今年最後の納品で、最も製作に苦労したものでした。
一番外側の箱が21㎝角で深さ6.5㎝、次の真ん中の箱が19㎝角で深さ5.5㎝、一番内側の箱が17㎝角で、深さ4.5㎝の三段の入れ子。それに23㎝角の蓋がついています。
一般的な箱モノは、板を組み合わせて作られるものが多いですが、私の作品は刳りものとして製作していますので、すべて、板を彫り抜いて製作しています。
一番大きな箱は、深さが6.5㎝ありますので、なかなか彫るのに苦労しました。
すべて黒く拭き漆塗りで仕上げています。
蓋の部分も、深さが2.5㎝ありますので、お盆や器としても使えるようにしています。
組み合わせは、自在でいろいろな使い方ができて、コンパクトに収納できるのが入れ子箱の魅力だと思います。
お届けまで1年近くお待たせしてしまったのですが、先日、納品させていただいたお客様から嬉しいメールをいただき、苦労が報われた思いです。
今年最後の製作、納品をとても気持ち良く締めくくりさせていただくことができました。ありがとうございました。
栃の木のお椀
栃の木のお椀の製作です。
高さ約7センチ、口径約14センチの少し大ぶりなもの。
手彫りで、ゆったりとした雰囲気のお椀にしています。
手彫りと言っても、純粋に手鑿のみですべて彫り上げたものではありません。
ドリルで下穴を開けたり、グラインダー等で削ったりしてかたち作っています。
木工ろくろを使っていないと言うことに過ぎないのですが、いろいろな手道具や機械を使いながらも、できるだけ手の感覚を反映させながら、器を作っていると言うことです。
仕上げは、撥水セラミック塗装です。
お椀のように、水分のある熱いものを入れることの多い器を。木のナチュラルカラーで仕上げる場合は、ウレタン塗装やガラスコーティングなどがよく使われますが、木の自然な風合いを生かしながら、丈夫で熱に強く、匂い移りを防いでくれる、食品に安全なセラミック塗装が最適と考えています。
硯箱を作る
お寺の住職さんからのご依頼で、硯箱を作らせていただきました。
大切にされている硯に、ぴったりに収まるサイズの硯箱を希望されていて、私の作風で表現した箱を作らせていただきました。
硯箱の下の箱部分を栗の木で、蓋の部分を栃の木で作り、拭き漆塗りで仕上げています。
蓋は、栃の木の少し表情のある杢目を生かして、拭き漆塗りで仕上げていますが、思いがけず、森の木立のような表情が出てきました。
原石をそのまま生かして加工して作られた硯の表情を、受け入れてくれているような雰囲気になったような気がします。
オーダーいただく方の思いを受け止めて作る一点ものは、作っていてやはり楽しい気がします。
昨日、オーダーいただいたお寺へ、出来上がった硯箱をお届けさせていただきましたが、住職さんには気に入っていただけて良かったです。
木の抹茶茶碗作りに思う
栗の木を彫って作った、抹茶茶碗と棗。
栃の木を彫って作った、輪花型のお盆。
師走の日々、お茶を頂きながら、ゆったりとしたいものです。
木の抹茶茶碗も使われる方が増えてきたのでしょうか、多くはありませんが時々ご注文をいただくことがあります。
抹茶茶碗は、奥が深く、なかなか難しい世界で、納得のいくものができませんが、だからこそ作ってみたくなる器です。
陶器の抹茶茶碗には、名品と呼ばれるものが数多くありますが、木製の名品と呼ばれるものは、私が知らないだけかもしれませんが、ほとんどみかけることがありません。一生かかっても木製の名品と呼ばれような茶碗ができるとは思いませんが、陶器の茶碗と並べられるくらいのものがいつかできるようになればと思います。
最近は、日用品の器を数多く作ることが、仕事の中心になっていますが、納得できる木の茶碗作りをとことん追求するような仕事に、いつかシフトしていければいいなと思う日々です。
栗の木で折敷を彫る
栗の木で折敷を彫りました。
東京日本橋高島屋での展示会も終わり、少々疲れも出て、ゆっくりしたいところですが、年末まで大小の展示会の予定がいくつかあり、のんびり出来ない日々です。
兼ねてより、展示会には用意してほしいと言われていた折敷を彫りました。
縦25×横35×厚さ2センチサイズのもの。
今回は、板目の栗の木を使ったので、やはり荒彫りの段階で反りが出て来て、しばらく養生してから、何度か修正して折敷に彫りました。
板目の板は、出来上がりの表情が良いのですが、反りの修正に時間がかかって大変です。
オイル仕上げの方が好まれる方が多いかもしれませんが、拭き漆塗りで仕上げます。