ちょうど5月の下旬の今頃になると、確か2009年に開催を終了した、「朝日現代クラフト展」が開催されていたころを思い出します。
毎年この頃になると、朝日新聞の夕刊に「朝日現代クラフト展」の受賞作品と講評が大きく記事として取り上げられていました。
初めてこの展示会に出会ったのは、20年ほど前、何のあてもなく木の器を作り続けていたころ、この夕刊に掲載された写真のクラフト作品に衝撃を受けました。そしてその作品の講評が、現代クラフトってなんだ!という出会いをもたらしてくれました。もうこれは見に行くしかないと、メイン会場の大阪梅田の阪急百貨店にでかけました。広く薄暗い会場に展示された、巨大とも思えるクラフト作品、そしてありとあらゆる技法で、強いメッセージを発して来るような作品、これは何だとまた衝撃を受け、会場の雰囲気にのまれながら、ふわふわと見て回った記憶があります。その後数年は、ちょうどバブル期の前後だった頃でもあったせいか、出展作品の購入予約も相当なもので、当時は異様な熱気に包まれていたような気がします。
作品は、決してアバンギャルドなものばかりではなく、高度な技術を駆使しながら、挑戦的で斬新な作品が入賞し、高く評価されていました。多くの公募展が東京を起点に地方へ巡回して行くのに対し、朝日現代クラフト展は、大阪を起点に東京、福岡と巡回していくのもおもしろいところでした。
やがて、百貨店の展示場所も変わり、会場も狭くなり、熱く感じていた熱気もたんだん落ち着いてきたかなと感じたころ、クラフト展は、その幕を閉じることになりました。
5月の今頃になると、あの熱い衝撃を感じさせてくれる、現代クラフトとは何か?を問うクラフト展がまた復活しないかと思います。