工房には、いろいろなオーダーに備えて、いろいろな厚さの板を、できるだけ在庫するようにしています。
特に厚い板は、なかなか確保が難しいので、厚い板を在庫していると、なんとなく安心感があります。
木工を始めたころは、材の買い方すら分からなくて苦労しました。
4~5センチぐらいの厚さの板なら、何とか手に入れることができるのですが、お椀を彫るサイズの6センチ以上ともなると、なかなか市場には無く、最初は、小さな端材でも6センチ以上の厚みのある板は、見つけると何でも買っている始末でした。
いろいろな先輩木工家の方から、広葉樹の買い方や、材木店を教えてもらい、今では何とか必要な材をある程度確保できるようになりました。
材木店の方とも、親しくしていただけるようになると、材料を探していただいたり、特別に丸太を注文で挽いてもらったりしてもらい、必要な樹種の、いろいろな厚さの板を確保できるようになました。
とりわけ苦労していた、厚い板6~10センチのものも在庫できるようになりました。
まったく木工業界の知識のないまま脱サラしてしまった私に、親切に対応していただいた、先輩木工家、材木店の方のおかげです。
カテゴリーアーカイブ: 作品づくり
鉋仕上げ皿製作中
きれいな板目の栗材で、直径30センチ、厚さ2センチのお皿を製作中です。
木工ろくろは使用せず、板に円を描いて、ディスクグラインダーで荒彫りをして、四方反りの豆鉋で仕上げています。
ろくろで挽いたような端正な円ではなく、表面も鉋目の残ったざっくりとした仕上がりですが、この少しゆるやかな雰囲気が気に入っています。
栗の木の杢目が端正で、少し緊張感を与えてくれているようです。
そんなバランスを生かしていい雰囲気のお皿が出来上がることを願っています。
拭き漆塗りで仕上げて、9月に予定している東京での展示会にもっていければと思います。
タモの美しい杢目の皿
タモの木の美しい杢目の板があったので、シンプルなお皿を彫りました。
木工ろくろは使わず、削り出してかんなで仕上げています。
私が、器作りを始めた30年ほど前は、大工さんや建具職人のおじさんたちが、これはいい杢でているだろうと、杢目のきれいなお盆や指物を自慢げに見せてくれる人が沢山いました。
その頃は、杢目がきれいと言うのは何となく分かるのですが、あまりこだわりや興味はなかったように思います。
何年もかけて、いろいろな木の器を沢山作るようになると、杢目の美しさに魅かれるようになりました。
この美しい杢目を生かして器にしてみたい、漆を塗るとどうなるだろうと、美しい杢目の木を使って器を彫るのが、わくわくするようになりました。
最近は、節やひび割れなどの、木の自然な表情や野性味を生かした器などに興味をもたれる方が多くなったように思いますが、私には、宝石のような美しさを放つ、木の美しさになんとも魅力を感じます。
私もいささか古い時代の木工屋になったのかもしれません。
美しい杢目のお皿ですが、あまり杢目が強すぎると食器として使いにくいところもあるので、拭き漆塗りの色合いを調整して、落ち着いた雰囲気に仕上げたいと思います。
hatsutokiの日傘のハンドル製作
兵庫県西脇市の播州織のファッションブランド「hatsutoki」さんの、自社ブランドのテキスタイルを使った、オリジナル日傘のセミオーダー用ハンドル(傘の柄)を今年も作らせていただきました。
自然をモチーフにした優しい色づかいやデザインのテキスタイルを使ったアパレル、ファッションアイテムを作られている、人気のファッションブランドhatsutokiさんが作られた日傘をイメージに、私がいろいろな木を使って、気ままにハンドルを削り出して作りました。
樹種もさまざまで、クルミ、トチ、ナラ、セン、山桜、栗、ウォールナットなど。
今年は、昨年の樹種に加えて、オリーブ、リンゴ、ツツジ、クロモジなど、ちょっと個性的な木も使ってみました。
ハンドルは、つるつるに磨かず、刃物で削り出した状態で仕上げているので、手にしっくり馴染みます。
塗装は、食器にも使われる安全な塗料を使い、木のナチュラル感をそのままに、汗などによるべたつきを抑えるようにしています。
今年は、ちょっと高級感も出して漆塗りのものも作りました。
自然をモチーフにした生地の日傘と、とてもしっくり馴染んで、自由に組み合わせて自分だけの素敵な日傘が作れます。
これから日差しの厳しい季節になります。この機会に一点もののマイ日傘をお供にされてはいかがでしょうか。
ご購入は、hatsutokiのオンラインストアにて → click
日傘のハンドルの納品
今年も播州織のファッションブランド「hatsutoki」さんから依頼された、日傘のハンドルの納品に行ってきました。
工房からほど近い兵庫県西脇市にある播州織の会社、島田製織株式会社さんが運営されておられるファッションブランドで、今日は会社へ直接納品。
サラリーマン時代は、営業的な仕事もしていましたので、企業訪問は日常茶飯事でしたが、脱サラから10年も経つと企業訪問は、少々緊張します。
企業訪問の際は、いつも訪問の要件を伝える第一声に緊張したものでしたが、そんな過去の記憶が蘇ってきて、久しぶりに感じる懐かしい気分になります。
親しくしていただいているデザイナーの方とお会いして、気さくに話していただくと、緊張感など微塵もなく、作ってきた日傘のハンドルを見ていただいて、「これいいね」などと言っていただくと、つい嬉しくなってしまいます。
私が一つずつ削り出したハンドルと、hatsutokiオリジナル生地の日傘のコーディネートで、世界にだた一つの日傘を楽しんでいただければと思います。
ご購入は、hatsutokiのオンラインストアにて → click
作ったハンドルの紹介は、また後日。
クルミの一人用トレイ
ご注文をいただいて、クルミの木でトレイを彫りました。
縦16センチ、横26センチ、厚さ2センチの小ぶりなサイズのものですが、一人用のトレイとしても食器としても、気軽に使える取り回しの良いサイズです。
塗装は、食器としての使用に問題のない、衛生的なウレタンオイルで塗装します。
染みが付きにくく、匂い移りもしにくい塗装なので、トレイとしても、そのまま料理を盛りつける器としても使用できます。
このサイズのトレイは、これまで栗の木で作った漆塗りのものが中心でしたが、最近は、カジュアルに使用できるクルミの木のオイル仕上げのもののご要望が多くなりました。
やはりこれからのシーズン、ガラス食器との相性がいいようです。
収納のスタッキングにも考慮して作っていますので、複数枚揃えていただいて、いろいろコーディネートして使っていただけると楽しいかなと思います。
アメリカでの豆皿の販売
この度、ご縁をいただいてアメリカ・カリフォルニアに会社を構え、日本の商品を販売するオンラインストアを運営されておられる、「ATAGO HOME」さんにてクルミの木の豆皿を販売していただくことになりました。
昨年あたりから、少しずつ海外からのご注文をいただくようになり、昨年は、香港のセレクトショップにて、工房えらむの各種の木の器を販売していただくことになりました。またデンマーク、コペンハーゲンのカフェよりお店で使用されるトレイやお盆のご注文をいだきました。
私の手彫り作品の、とても日本的で朴訥とした作品ですが、このような作品を海外の方が面白いと感じていただいて、販売していただけることをとても嬉しく思います。
作品のお声がけをいただいた「ATAGO HOME」のオーナーさんとは、いろいろメールのやり取りをする中で、非常に間接的ではありますが、偶然にもお互いの接点のようなものがあって、アメリカ在住の方との偶然の出会いに驚く一幕もありました。
工房を立ち上げて10年になりますが、海外にまで販路が広がるとは思いもよりませんでした。
シンプルな30センチのクルミの丸盆
クルミの木で、30センチ径の丸盆を彫りました。
丸いお盆ですが、手で彫って作りましたので、どこかゆるい雰囲気の丸盆で、特別な彫り模様があるわけでもなく、いたってシンプルなお盆です。
クルミの木の明るい雰囲気が、これからの季節は、ガラス食器などによく似合いそうです。
浅めに作っていますので、折敷的に使うのもいいかもれません。
お盆には、衛生的なウレタン含有の植物性オイルを塗布していますので、水分に強く、匂い移り、色移りがほとんどありませんので、料理を盛りつけることもできるかと思います。
シンプル故の多用途さを楽しんでいただければと思います。
クルミの木の隅入り盆
クルミの木で隅入り盆を彫りました。
お盆のサイズは、縦32センチ、横22センチ 厚さ2センチ、ちょうど一人分のお茶とお菓子の銘々皿がのるぐらい。
隅入りのお盆は、どことなく和の雰囲気で、日頃は、栗の木を彫って、拭き漆塗りで仕上げることの多い隅入り盆ですが、この度は、ご注文をいただいてクルミの木を彫って製作しました。
クルミの木のオイル仕上げでできたものは、どちらかと言えば洋の雰囲気の印象なので、クルミの木で作った隅入り盆は、和と洋の混ざり合った雰囲気になりました。
ガラスの食器などをのせてみると、意外と落ち着いて見えるので、これから夏に向けて、いろいろ使えそうな気がします。
鉋仕上げ皿とスナップエンドウ
今年は、工房の畑のスナップエンドウが上手くできました。
春の日差しを吸収して出来ているかのような、ライトグリーンの艶やかさが、とてもおいしそうに感じます。
栗の木の鉋仕上げの7寸皿に入れてみました。
黒っぽい拭き漆塗りで仕上げたお皿に、ライトグリーンのスナップエンドウが、映える写真が撮れるかと思ったのですが、どうも写真が上手くなくて、雰囲気が伝わらなのが残念です。
鉋仕上げのお皿は、四方反りの豆鉋で、削り出して杢目を引き立てながら、鉋の削り跡で表情を付けたお皿に仕上げているのですが、なかなか意図したものにならず、難しいところです。
四方反りの豆鉋は、工房によく来られるベテラン鍛冶師さんが作られた絶品ものですが、これも鍛冶師さんの鉋を生かしきれず、鉋のテクスチャがお皿の表情を作るところにまで至っていないようです。
体調も思わしくなく、何かとうまくいかない日々です。