2005年に65歳で亡くなられた輪島塗の作家、角偉三郎さんの器を、ご縁をいただいたお客様からいただきました。
漆塗りの産地、輪島の漆塗りの器作家の方で、高い技術と表現力で、日展入選17回、特選受賞の経歴をお持ちの方ですが、晩年は、卓越した技術を持たれながら、一方で素手で漆を塗るなど、伝統的な輪島塗を超越した前衛的な漆塗り表現がすごくて、私にとってはなんとも魅力的な、あこがれの漆の器作家の方でした。
クラフトの公募展、朝日現代クラフト展の1999年と2000年の審査員のお一人が、角偉三郎さんで、ここで入選したいという思いで応募し、角さんが一票を投じていただいたかどうかは定かではありませんが、私の漆塗り作品が両年入選できたことが、ささやかな思い出です。
そんな角偉三郎さんの器が欲しいと、何度も購入を考えては、その値段に躊躇してあきらめていたのですが、角さんが亡くなられてからは、ますます購入も難しくなり、遠い存在となっていました。
先日、ご縁をいただいて、お客様からもう断捨離をするので、この器の良さを一番理解してくれる人に、この器を引き継いでほしいと仰られ、思いがけず、角さんの器をふたつ渡してくださいました。
角さん特有の表現の、なんとも味のある美しい大きなお椀でした。
今度は、あなたが育ててくださいと。
感謝の思いを大切に、愛用していきたいと思います。