厚さ8センチの栗の木を彫って、少し大きめの鉢を作りました。
厚い栗の木はなかなか手に入らず、希少な材料なので、しっかり厚みを感じられる器にしたいと言う思いで、鉢を彫りました。
こんな場合は、やはり轆轤の均質な表情より、手彫りの武骨さが似合っているように思います。
少し厚めに彫って、器の縁も変化をもたせて、全体から感じさせる器の存在感を意識して作りました。
意図したとおりには、なかなか出来ませんが、少しでもその思いを表現できればと言う思いで出来上がった鉢です。
拭き漆塗りで仕上げ、料理に彩を添えるものになればと思います。
2024年のアーカイブ
海外への作品の発送
多くはないですが、時々海外へ作品を発送することがあります。
先日も、やっとの思いで、15キロの荷物を海外向けに発送しました。
自分の作品が海外に渡って行くことは嬉しいことですが、発送の手間が大変で、これがなかなかの大仕事になります。
書類の作成が大変。種類はすべて英文、作品名を英訳して、作品リストを作成。同時に輸出用書類のインボイス等を英文作成してパウチシートに入れる。
クライアント側の希望により、運送会社が異なることが多く、郵便局のEMS、ヤマト宅急便の国際便、ドイツ系のDHLなど、それぞれ書類が異なり、戸惑うことしばしば。
梱包が大変。海外向けの荷物は、おおむね航空貨物で送られるですが、目的地まで何度も中継基地を経由していくので、厳重に梱包しておかないと、壊れる可能性が大きいので、国内向けの荷物に比べ倍以上の梱包作業が必要になります。
段ボール箱は二重にして、エアーキャップでぐるぐる巻きにして梱包します。
発送会社のもとへ持って行くと、重圧から解放されてほっとします。
あとは、各運送会社の荷物の追跡状況をパソコンで確認しながら、無事通関をしていくかなど、運ばれていく荷物の行方を、どきどきしながら見守っています。
海外発送は、何度やっても大変です。
竹内絋三 展を見てきました
少し以前になりますが、丹波市にある兵庫県立陶芸美術館で開催された、陶芸家の「竹内絋三 展」を見てきました。
陶芸家という呼び方が相応しいかどうか判りませんが、私の工房のすぐ隣の市で創作活動されていて、世界的に作品は高い評価を受けて、海外の美術館にも収蔵されている作品を作られている、竹内絋三さんのことは知っていましたが、なかなか実物作品を見る機会がありませんでした。
この度、兵庫県立陶芸美術館での展示会では、多くの作品を身近に見ることができ、斬新で迫力ある作品にとても感動しました。
どこか幾何学的に出来上がった立体の陶芸作品を、部分的にハンマーなどで壊して、整然と組み合わされた立体部分と、壊されて予測不能に出来上がった部分との対比の面白さと、生み出される深い美しさのようなものを感じました。
私の工房からほど近いところで、こんな素晴らしい作品を作る方がおられて、そしてその表現の斬新さに、とても刺激を受けました。
裂け繕いの器
先日のギャラリー風来での素のかたち展に出品した「裂け繕いの器」。
栃の木で作った大皿です。
元々栃の板の中央に裂けたひびがあったのですが、良い感じの木味の木だったので、ひびを避けて小さなお皿を作るより、いっそ裂けのひびを真ん中にもってきて、大きな皿を作って見ることにしました。
その裂けの部分を上手く埋めて実用的な皿にするために、日頃行っている金継ぎの要領で、ひびを漆で埋めています。
ひびの部分を金継ぎの要領で漆でなぞって、細く金を蒔く方法もあるのですが、壊れた器の金継ぎ修理品の印象を持たれることがいやだったので、いっそ漆で埋めたひびの部分を大胆に器の装飾にすることにしました。
ひびを漆刷毛で、大胆に漆を引いて、そこに金粉を蒔いてみました。
最近は金が高騰しているので、ちょっと贅沢な装飾になりましたが、ちょっと挑戦的な試みとして、面白いかなと思っています。
素のかたち 4人展が終了しました
2024年2月19日より27日まで、兵庫県明石市の「ギャラリー風来(ふうき)」さんにて開催しておりました「素のかたち 4人展」が、昨日終了いたしました。
ガラス作家の音堂多恵子さん、金属アルミによる器制作者の森下シゲキさん、陶芸家の笹部充恵さん、木の器の田中陽三の4人による展示会でしたが、それぞれの個性を生かした表現を多くの方に楽しんでいただけたようです。
期間中は、天候の悪い日が多かったのですが、沢山のお客様にお出でいただくことができ、無事4人展を終了させていただくことができました。
私としましても、在廊は2日間でしたが、沢山のお客様との出会い、異素材の作家の方との交流で、今後の作品作りへの活力をいただきました。
お出でいただいた皆様、ギャラリーのオーナー様、スタッフの方、ご一緒いただいた作家の方には心よりお礼申し上げます。
2024年 素のかたち展始まりました
素のかたち展 2024
2024年2月19日~27日まで、兵庫県明石市の「ギャラリー風来(ふうき)」にて開催される「素のかたち 展」に出展いたします。
ギャラリー風来さんでは、昨年に引き続き、ガラス作家の音堂多恵子さん、金属アルミによる器制作者の森下シゲキさん、陶芸家の笹部充恵さんと、木の器の田中陽三の4人による、「素のかたち展」を開催させていただきます。
素のかたちと言うテーマで、それぞれ素材の異なる作家により表現された様々な、テーブルウェアをお楽しみいただければと思います。
機会がございましたら会場へお立ち寄りいただけますと幸いです。
会場 「ギャラリー風来」 兵庫県明石市天文町1-7-9
期間 2024年2月19日(月)~2月27日(火) 11:00~17:00 (最終日は16:00まで) 会期中無休
2月19日在廊予定
隅切り盆の仕上がり
先日、栗の木を彫った、縦横32センチ、厚さ2.5センチの隅切盆の漆塗りが終わり、出来上がりました。
栗の木の杢目と彫り目を活かして仕上げるために、拭き漆塗りをしていますが、隅切盆の少しフォーマルな雰囲気を出すために、漆に煤を加えて、真っ黒ではない、ほど良い黒さと感じる色合いに仕上げました。
写真が良くないので、写真では彫りの凹凸ばかりが目立って、少々落ち着きのない雰囲気に見えるのが残念です。
1枚板の刳りものによるお盆は、少し重くなりますが、木組みの物とは違った、重厚さと質感で、料理やお茶などを演出してくれるのではないかと思います。
この隅切り盆は、既に納品済みです。
Button Inspiration vol.18へ出展
東京・銀座のACギャラリーさんで、2024年1月27日より開催される、「Button Inspiration vol.18」に出展させていただきます。
陶器やガラス、布、木などさまざまな素材で創作活動されている、50名の作家により作られたボタンが、展示販売されます。
私は木を素材としたボタンを出品、販売いたします。
木の杢目を生かしたもの、漆塗りのもの、木彫りのものなど、木の様々な表情を生かしたボタンを作りましたので、ご覧いただければと思います。
お近くの方がいらっしゃいましたら、ご高覧ください。
会場 ACギャラリー 東京都中央区銀座5-5-9 岡崎ビル4F
期間 2023年1月27日(土)~2月2日(金) 11:30~19:00 最終日は17:00まで
片口を彫る
久しぶりに片口を彫りました。
片口を作るのは好きなのですが、肩こりがひどくなると、片口のような口径が小さくて深い彫り作業を、どうしても避けたくなって、最近は片口を彫ってなかったのですが、2月のグループ展に向けて彫りました。
栃の木で細身で深い片口を、栗の木で浅めでころんとした片口を彫りました。
木の片口は、陶器のものに比べ、軽くて保温性があるので、何かと使いやすいのではないかと思います。
ほとんどフリーハンドですが、手に馴染む柔らかいかたちにしています。
拭き漆塗りで仕上げます。