合鹿椀との出逢い

もうかなり以前のことですが、石川県の旧 鳳至郡柳田村に合鹿椀と呼ばれる、江戸時代以前から作られていた古椀があり、私はその写真を見て衝撃を受けました。
そのお椀には、素朴さの中に凛としたたたずまいがあり、それでいて何とも言えない力強さを感じました。
1986年ごろ、趣味の登山に明け暮れ、いつか山や自然の中で暮らしたいと思いをめぐらしながら、どこか移住者を受け入れてくれるような山村はないかと漠然と探していました。その時出会ったのが、石川県の柳田村の特別村民制度。村役場に入会の案内資料を取り寄せた中に、合鹿椀の小さな写真と紹介文がありました。その写真のお椀にこころ魅かれ、漆器の産地である輪島市に近いことから、木の器を作ってみたいと言う思いが重なって、1986年12月に柳田村特別村民となりました。
それから合鹿椀のことが気になり、いろいろ調べましたが、まだ当時はインターネットなどほとんど無い状況で、わずかに紹介された本を頼りに合鹿椀の世界を知るだけでしたが、その魅力に魅かれていきました。
恥かしながら、柳田村特別村民になりましたが、結局一度も柳田村を訪れることもなく、ましてや本物の合鹿椀を目にすることもなく、柳田村から送られてくる物産や村の広報を頼りに、村への思いをはせるだけに終わってしまいました。
しかし合鹿椀との出逢いが、自分で木の器を作るひとつのきっかけとなり、いつか合鹿椀のようなお椀を作ってみたいと強く思うようになりました。

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合鹿椀3

 

木の片口に鎬を彫る

先日、盛鉢に鎬(しのぎ)を久しぶりに彫ったことが面白くなって、今度は片口に鎬を入れることにしました。
6寸径ほどの栗材の片口なので、バランス的に細い鎬をたくさん入れることにして、12ミリの丸鑿で、1センチ前後の鎬を彫ります。
細い鎬なので、鉢の時のように玄能で勢いよく彫ることは、私にはどうも難しそうなので、すべて手で彫ることにしました。
慎重に一本ずつ器のカーブに添って彫っていきますが、結構木も堅く力が要り、休みながらの疲れる作業でした。
細い鎬は大変ですが、出来上がりはまた違った印象があります。

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木の鎬鉢を彫る

厚さ2寸弱のほぼ柾目の栗材で8寸の鉢を彫りました。
柾目で彫った鉢は少し印象が弱いので、鎬(しのぎ)を入れることにしました。
鎬は、陶芸だと柔らかい粘土をカンナで削っていくので、あまり力のいらない作業ですが、木の器に鎬を入れるのは、特に器の側面となると少々大変な作業です。
良く研いだ深丸の丸鑿を、私は器の側面のカーブに添って底から縁へ彫っていきます。始めは鑿を軽く手で押しながらその後、玄能で勢いよく彫っていきますが、私には力加減に気を使う骨の折れる作業です。

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重箱を彫る

工房でも猛暑日が続いていますが、お正月用の重箱を彫っています。
年末のお正月用品の企画展への出展依頼をいただいたので、真夏の今から準備を少しずつ始めています。
今私の作っている重箱は、板を彫って作る刳りものの重箱。栗材による7寸の三段重。
彫る際には、あらかじめ太い口径のドリルでおおよその穴をあけておいてから彫っていくのですが、三段重ともなると、一つ製作するのにもかなりの時間がかかります。なので、真夏の今から大汗をかきながら重箱づくりをしています。

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木の酒器を彫る

9月下旬〜10月上旬に兵庫県伊丹市の江戸時代に建てられた町屋で、「町家に集うクラフト」と言うイベントが開かれることになり、イベントの運営と出展をすることになりました。
そこでのイベントとして、地元酒造メーカーさんの協力をいただき、出展者による酒器で日本酒を楽しんでいただけるコーナーを設けることになり、酒器も出展させていただくことにしました。
一般的に木の酒器は意外と少ないのですが、木の酒器は保温性もあり、熱燗などの熱も和らげるので、使いやすいのではないかと思います。
イベント用に日本酒に合う木の酒器を、いくつか彫ってみることにしました。
今回は、栗材を彫って、お米と木の出会いをイメージして、お酒をひきたててくれるようなシンプルな酒器を作ってみました。
拭き漆で仕上げる予定です。
イベントの詳細は、後日お知らせいたします。

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ブルーベリーと はなびら皿

工房の片隅に植えているブルーベリーの実を収穫しました。
ブルーベリーは、異種を混植するとよく実がなると言われているので、種類の違うブルーベリーを3本植えています。
まだ木が小さいこともあって、実は少ししか生りませんが、熟した実を口に入れると甘酸っぱい味はなかなかのもので、夏の味がします。
栗の板をはなびらのかたちにフリーハンドで彫った、はなびら皿に収穫したブルーベリーの実を入れてみました。
栗の板の色と紺色の実のコントラストが新鮮に感じます。

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花びら皿 栗材

 

 

木の片口の仕上がり

6月7日に製作記事を書いた栗の木の片口が仕上がりました。
栗の木の素朴な木目が好きなので、木目を生かしながら酒器などに使えるよう黒っぽい漆で仕上げました。
以前に作った栗の木の隅切り盆に載せ、ぐい呑みを添えてみました。水キレも問題なく、酒器以外にも多用途に使えそうです。

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片口 栗材 拭漆       ぐい呑み 栗材 拭漆

 

 

角コースターをつくる

角コースターの追加製作依頼をいただいたので、同じものを複数枚作っています。
今回、私が作っている角コースターは、すべて直線と平面で出来ています。
こんな場合、丸鋸盤などを上手に使うと効率よく、短時間で同じものをたくさん作ることができそうですが、 私はすべてバンドソーで直線をカットしています。バンドソーの直線切り用のガイドは使わず、材に書いた輪郭線に沿って切っていきます。
当然、直線に切ったつもりでも微妙な歪みが生じます。その切断面は平鑿でととのえていきます。どうも時間のかかる仕事ですが、手で彫りながら器を作っている私には、機械的でない仕上がりも含めてこの方が性に合っているようです。
コースターは漆をしっかり塗りますので、角皿として多用途に使用できるようにしています。

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角コースター 栗材 (完成品は拭漆仕上げ)

 

 

栃の角皿の仕上がり

5月31日のブログで紹介しました栃の角皿の漆塗りが終わり、仕上がりました。
今回の栃の板は、節や入り皮、ひび割れのある個性的な板でした。
あまり個性を強調しすぎると食器として落ち着かなくなるので、少し黒っぽい漆などを使いながらで全体をシックに抑え、栃の木特有の杢もあまり強く出すぎないようにしました。
最後は、漆の艶を多少おさえて仕上げとすることにしました。

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角皿 栃材 拭漆

 

 

木の片口を彫る

栗の木を彫って片口をつくりました。
片口は、注ぎ口の水キレを注意して作れば、材料の大小に合わせていろいろな形や大きさのものができるので、好んで作っています。
厚さ7㎝の厚めの栗材を使って、少し深く容量のある片口を作ることにしました。
材料の雰囲気を見ながら、今回は彫る輪郭をフリーハンドで描き、彫っていきます。注ぎ口は、厚みのある材なので、U字状に彫り込まず、穴をあけて作ることにしました。その分、注ぎ口はちょっと手間がかります。
材を深く彫るのはけっこう大変な作業です。いろんな鑿を使って彫っていきます。
容量のあるぽってりとした片口ができましたので、酒器などにも使えるよう渋めの漆仕上げにしたいと思います。

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