東山嘉事さんの牛

用事があって久しぶりに神戸に行きました。
少し時間があったので、JR神戸と元町駅の間の高架下にあるカフェ「プラネットEartH」に置いてある、アーティスト東山嘉事さんの作られたゴミアートの作品を見に行きました。店内には、ほぼ本物の牛と同じ大きさの牛のオブジェ「モーモーモー」があります。
東山嘉事さんは好きだったアーティストのひとりでしたが、残念ながら2006年に亡くなられました。
私が、登山からものづくりに興味が移ってきたころ、40歳の誕生日の記念に、東山嘉事さんのゴミアートのワークショップに参加しました。
最近では、古材や廃材で作品を作る人は多くなってきましたが、東山さんはあくまでゴミだったと思う。
古材や廃材は素材であることに対して、ゴミと言う廃物で作品をつくることにすごいエネルギーのようなものを感じて、私はN市のごみ処理場で東山さんとゴミから生むアート作りを行いました。
2年前、東山さんが亡くなられて作品を目にする機会が少なくなっていた時、このカフェで牛のオブジェに出会った時は、鳥肌が立ちました。
何度作品を見てもその存在感に圧倒されます。

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チチ松村さんと小野市のセミ事情

今日、近畿地方が梅雨明けしました。工房のセミもそのことを知っているかのように鳴き始めました。
セミの鳴き声を聞いて思い出したのが、ちょうど一年前、アコースティックギターデュオの「ゴンチチ」のチチ松村さんと小野市のセミ事情について話をしたこと。
昨年、私たちが神戸で個展をしていた時、見にきていただいた先輩木工家の方から「ゴンチチ」のチチ松村さんの企画で、「豆」をテーマにいろんなアーティストが作品を持ち寄り、大阪のギャラリーで展示会をするので、見に来てと言われてDMをいただいた。
チチ松村さんも時々会場に来られるので、会えるかもしれないよとのこと。
私は、ゴンチチはデビュー当時からのファンだったので、出来ることならお会いしたいと大阪のギャラリーへ。会場では「豆」をモチーフやイメージした絵画、イラスト、書、造形作品などと、チチさんの豆に関するコレクションが展示されていて非常に楽しく面白い展示でした。先輩木工家の木工作品も小さいながらもウイットの効いた、さすがと言わせる面白い作品でした。
ギャラリーの方から午後にはチチ松村さんは来られるとのことで、時間を合わせて再度ギャラリーを訪問し、ご本人とお会いすることができました。小野市ってどの辺にあるの?セミはいる?とセミ好きでもあるチチさんと小野市のセミ事情で談笑し、うれしい時間を過ごさせていただきました。

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秋岡芳夫さんのこと その2

先日、工業デザイナーの秋岡芳夫さんのことを書かせていただきましたが、私は残念ながら秋岡さんとお会いしたことはありません。
しかし、秋岡さんとのことで興味深い思い出があります。
もうかなり以前のことですが、秋岡芳夫さんが審査員長をされておられたクラフトコンテストに応募した時のことです。
その時のコンテストでは入賞できませんでしたが、コンテストの会期終了後、コンテストを運営されておられた方から、入賞者の選考状況についてお話がありました。
大賞など大きな賞がすべて決まり、最後に一番最後の入賞者を決める際、私の作品と、もう一人ほぼ同じコンセプトで製作された作品が候補になったそうです。どちらを入賞者とするか審査員の方々の中で意見が分かれため、最終的に審査員長の秋岡さんの判断にお願いしようということになったそうです。秋岡さんの選定でもう一人の方の作品が入賞と決められ、私は入賞から外れました。同じコンセプトで作られたもう一人の方の作品は、私のものよりシンプルにまとめられた作品でした。私はそのことを聞いて、秋岡さんの選考に妙に納得した、そんな思い出があります。

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秋岡芳夫さんのこと

私が登山に熱中し、何か自然と暮らす仕事がしたいと漠然と思っていた時に、工業デザイナーの秋岡芳夫さんの本に出会いました。もう25年以上も前のことになりますが、秋岡さんの本と出会ったことで本気で木工を職業にしたいと考えるようになったと思います。
入手できる本はいろいろ読みました。本の中には、木のすばらしさ、木の道具を使い込む良さなど、それまでほとんど気づかなかった木のことが紹介されており、目からうろこの出会いでした。
そして工業デザイナーとして、モノには人に合った大きさやサイズがあることを紹介されていました。
私もすぐに本の中に紹介されている日本人に合った座高の椅子と、それに合う高さのテーブルを作って使ってみたところ、楽に座れる、仕事や食事がしやすい、来客用テーブルとしても違和感がないなど、モノのサイズの重要性を実感することになりました。
秋岡さんのことばに、「木はそる、あばれる、狂う、いきているからだから好き。」と言うのがあります。今やっと木の器づくりを職業としていますが、木とどう付き合うかを教えてくれているように思います。今も時々その言葉を思い浮かべながら仕事をしています。
秋岡芳夫さんは1997年に亡くなられました。本当に残念です。

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