先日、朽ちかけた端材で作った板皿のことを書きましたが、その板皿を作った端材が捨てられず、さらに小さな板皿の作品を作りました。
杢目が結構気に入っていたので、一定の大きさの板皿は、4枚しか取れませんでしたが、その残りを捨てるのが惜しまれて、小さな不定形な板皿を2枚作りました。
小さいなりに、小さな飾りの敷板や茶托として使えそうです。
捨ててしまうのは簡単ですが、まだ何か出来ないかと考えるのも面白いことです。
こんなことをいつまでも考えているので、端材が捨てられず、大量の段ボール箱が、工房中にあふれ、作業スペースをどんどん狭くしている状況です。
材料のどこで、捨てる端材としての一区切りをつけるか、悩ましい問題です。
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端材への思い
最近工房内の材料がとても多くなったこと、そして製作後に出来た端材が捨てられず、大量に溜まってきたこともあって、保管場所が無くなってきので、工房の片隅に仮設の材料置き場を作りました。
整理をしていると、小さかったり、薄かったりして捨てられず、いつか使うこともあるだろうと、ただため込んで忘れてしまった材料が大量に出てくる。
そんな中から出てきた、朽ちかけた栗の薄板。虫穴はあるし、部分的に腐っている。それでも杢目がなんとも魅力的。いっそこれをそのまま生かして、何かできないかと思って、小さな板皿が4枚できました。
朽ちかけた板も漆を塗ると杢目の表情が生き生きとして、朽ちた部分が漆で固まって真っ黒になって、表情にコントラストがついて、いい感じになってくれました。
虫穴も人為的でない表情が面白い。
私なりにいい板皿ができてうれしい限りです。だから端材が溜まってしかたがないのかもしれません。
板皿を作る
2022年2月中旬に、兵庫県内のギャラリーでガラス、金属の作家の方、そして木工の私の3人展を予定しています。
展示会に向けて、板皿を作りました。
栗の木の味わいのある杢目を生かした、シンプルな板皿です。
表面は四方反りの豆がんなで仕上げています。表面が、きれいなフラットな状態だと、どうも落ち着かなくて、少し豆がんなで表情をつけると、杢目もやわらかく見えてくるように思います
はがきより一回り大きいぐらいの板皿で、拭き漆塗りで仕上げますので、銘々皿として、茶托として使えると思います。
また、ちょっとした飾り台にも使えそうです。
木に求める魅力はいろいろありますが、やはり木の味わいは、第一に杢目かなと、自然が作り出す美しさは魅力的です。
拭き漆塗りで、どのように仕上がるのか楽しみです。
2021年の大晦日
工房えらむも2021年の大晦日を迎えました。
相変わらずの製作スピードの遅さ、技術の無さ故、オーダーをいただくと納期などに追われ、思うように作品作りがなかなかできなかった一年でした。
そんな中で今年は、いろいろ海外とのご縁いただき、台湾の国立台湾工芸研究発展センターで開催された、台湾・日本交流企画展に出品させていただきました。
また、私の作品はどちらかと言えば和風テイストの作品ですが、香港やデンマークからオーダーをいただき、作品が海外で販売されたり、お使いいただく機会を得ましたことを嬉しく思います。
来年も、個展や展示会の予定がいくつか入っています。できる限り自身の持ち味を引き出した、皆さんに楽しんでいただける作品を作っていきたいと思います。
大晦日も工房で終日仕事をしていましたが、締めくくりは、新年への思いを込めて、工房に自分で作ったしめ縄を飾りました。
藁は実家の田んぼから、ウラジロや松やナンテンなど、すべて近くの雑木林などからの頂きもの。
私たちは、自然からの頂き物で仕事をさせていただいていることに感謝して、その思いをしめ縄に込めて、新年を迎えたいと思います。
この一年本当に沢山の方のお世話になりました。
皆様に心より感謝申し上げます。
かんな仕上げの器
私の木の器作りは、木工ろくろを使用せず、おおよそ機械的に荒彫りをしたものを、手彫りで仕上げるやり方で製作しています。
手彫りの、のみ跡を残した表情が好きで、その上に拭き漆塗りなどで塗装を行っていくやり方です。
表面を滑らかにサンドペーパーなどで磨いた方が、杢目が美しく表現できるのですが、なんとなく平滑に磨かれた表情が、冷たく感じるので、あまりこの方法は行っていません。
最近、隣町の鍛冶師さんが作られた豆がんなが、とても気に入って、四方反りの豆がんなで、器を仕上げるやり方が多くなりました。
ほど良いかんな削りの手の跡と、杢目もほどよい加減で表情美しく表現できるので、手彫り一辺倒だった器づくりも、かんな仕上げにより幅が広がってきました。
これも鍛冶師さん手作りの、独特の切れ味の豆がんなとの出会いのおかげと言えると思います。
栗の木の抹茶茶碗
栗の木を彫って作った抹茶茶碗です。
今回の茶碗は、陶芸で言えば、ヘラでざっくりと掻き落としたような表情にしてみました。
少し黒っぽい拭き漆塗りで、使い込んだ古民具のような雰囲気に仕上げています。
お茶碗を作るのは、やはり難しいです。
造形、表情など、奥が深く、私が作るお茶碗は、評価に値しないものかとい思いますが、いつかもう少しいいものができないだろうかと言う思いで、作り続けていきたいと思います。
そして茶碗と言う一点もの作品を探求していくのは、とても面白いものです。
最近は、アウトドアブームもあって、気軽に野点を楽しまれる方も増えているようです。
軽くて壊れにくく、持ち運びしやすい木の茶碗の魅力も伝えていきたいと思います。
刳りもの重箱の仕上がり
栗の木を彫って作った重箱の漆塗りが終わり、出来上がった状態です。
コンパクトな5寸(15センチ角)二段重箱と、7寸(21センチ角)一ケ重箱。
最近は、あまり大きな重箱より、少し小さめのものを好まれる方が多いようです。
拭き漆塗りで、少し黒目の方が、料理が映えるように感じて、少し黒っぽくしています。
写真が良くないので、全体的に真っ黒な感じに見えますが、栗の木の杢目の感じはしっかり味わえる感じにしています。
市販のおせち料理も、手作り感満載の刳りもの重箱に盛り付けていただけると、また雰囲気も、味わいもひとしおかなと思います。
チャリティー展の出品作品
2021年12月4日から19日まで、兵庫県姫路市のギャラリー「ルネッサンス・スクエアー」で開催される、第34回 チャリティーのためのミニアチュール展に2点出品しています。
出品された作品を入札形式で、最高額の方にお譲りするオークション形式で、入札額の一部がチャリティーとして寄付されます。
私の出品作品は、小さなだ円箱。
栗の木を彫って作ったの器部分に、栃の木で作った蓋を載せて、拭き漆塗りで仕上げています。
大きさは、縦8×横14×高さ5センチのものと、縦9×横12×高さ5.5センチの小さなものです。
蓋の栃の木は、少し杢目模様の面白いものを選びました。
ちょっとした小物入れやアクセサリー入れに、もちろん食品を入れても衛生的です。
最低落札価格3.000円からのスタートにしています。ギャラリー会場でもインターネットでも入札できますので、よろしければチャリティーにご協力ください。
ギャラリー ルネッサンス・スクエアー
兵庫県姫路市三左衛門堀西の町205-2 ㈱パナホーム兵庫1F
チャリティー展インターネットサイトは → click
重箱を彫る
日差しぶりに、栗の木を彫って重箱を作りました。
コンパクトな5寸(15センチ角)二段重箱と、7寸(21センチ角)一ケ重箱。
時節柄、この時期になるとご要望の多い重箱ですが、私が作るのは、厚板を彫って作る手刳りの重箱のため、とても時間がかかる重労働なので、最近はあまり作っていませんでした。
以前は、三段重なども苦も無く作っていましたが、さすがに最近は、作り控えるようになってきました。
それでも、重箱の蓋や重ねた器が、ぴったりと収まった時の快感が楽しくて、また作ろうかなという気にさせてくれます。
漆を塗って仕上げますが、もうすでに現物は仕上がっていて、先日の書道家の方との展示会でお披露目の後、納品予定先への納品が決まっています。
手刳りのお椀
最近、お客様などからのご要望もあって、お椀を作ることが多くなりました。
私のお椀は、木工ろくろを使わない手刳りによるお椀なので、少々いびつなお椀ではあるのですが、私が思うところの使いやすく、かたちの良いお椀とはと言う思いで作っています。
今回作ったのは、直径13.5センチ、高さ10センチの栗の木を彫った少し大ぶりなお椀で、たっぷり入る多用途なお椀です。
お椀と一口に言いても、数百年前から使われ、多種多様な形状のものが存在するだけに、理想のかたちとはを考えるほどに、そのシンプルにして奥の深さを感じずにはいられません。
今、私が理想と感じるお椀を、手の中から刳り出したのが現在のお椀です。